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双極症、気分の波の中での友人や恋人との付き合い方。距離の取り方・頼り方。

2019/06/07
双極症(双極性障害)100の質問
精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極症(双極性障害)についての100の質問」企画、第48回目です。

今回のテーマは、

「双極症、気分の波の中での友人や恋人との付き合い方。距離の取り方・頼り方」

です(・∀・)

以下、質問者さんからのメッセージです。

女子大生です。高2の時に双極症Ⅱ型と診断され、継続した治療はせずにいたところ、進学や周辺の環境が変わるたびに悪化し、最近は大学のゼミの人間関係が上手くいかないこと、彼氏と別れたことなどからうつ症状が出現し、希死念慮も出たため大学カウンセリングに駆け込みました。私から彼に別れを告げましたが、その際「私に恋愛をする気力が無くなった」と伝えました。「それでも一緒に居たい」と付いてきてくれるのですが、支えてくれる人がいて助かると思う反面、何も返せる自信や余裕が無いから放っといてほしいとも思う、でも居なくなるのは怖い…という感じで、考えはぐちゃぐちゃです。

家には諸問題があり、頼れるのは元彼と大学のカウンセラーのみです。双極症では、どのように人間関係をこなせばよいのか、その距離の取り方だったり、頼り方のアドバイスを頂ければ幸いです。

双極症では、その時の状態により、対人関係も揺らぐものです。

うつ病エピソードの間は、先行きに対して悲観的になったり、自己肯定感が低下したり、投げやりな気持ちになったり、しんどすぎて人との関わりが持てなかったりすることが、対人関係に影響します。

軽躁病・躁病エピソードの間は、気分が高揚し、誇大的になったり、対人関係が拡大したり、対人接触の時間が増大したり、抑制が困難となり過度に相手に接近したりすることが、対人関係に影響します。

恋愛に関する過去記事も参考にしてください。

参考:双極症で恋愛への自信を喪失。病的な自分を好きになってくれる人はいる?

参考:双極症、精神疾患のある異性とのお付き合いは控えるべき?病気への影響は?

うつでも躁でも原則は同じ

まず、うつ病エピソードでも躁病エピソードでも、気分エピソードが生じているときに重大な決断をすることは禁忌です。

質問者さんは、うつ症状から恋人との関係を続けることがつらくなり、自ら別れを告げたようです。

相手に申し訳ないと考えたり、付き合っていく気力が無いと感じたりした時に「相手のためにも別れた方がよい」などと考えがちですが、

「決断は保留・延期する」が正解です。

うつ状態でも躁状態でも、本来のご自身が持つ現実検討能力や判断力は低下しているものです。

気分症状が見られる時には大切な人との関係について重大な決断をすることは避けましょう。

状態により付き合い方を変える

まずは、友人であれ、恋人であれ、双極症がどういった病気かを理解してもらうことが大事です。

その上で、こんな症状が見られるときは「うつ」の時だから、こんな風に接してほしい私はこんな対応しかできないけれど、病気のせいだから分かってほしい、などと伝えましょう。

例えば、以下のようにルールを作ってみるのも良いと思います。

重症のうつ病エピソードでの対人ルール

・気分も意欲も落ちていて何も楽しむ余裕がないため、ひきこもりがちなのを許容してもらう

・人と接するのが疲れるので、しばらく会わずにラインのやりとりだけにする

・会う場合は外で会うことは困難なため自宅に来てもらう

・しゃべれないし、お構いもできないけれど、可能であればそばにいてもらう

・本意でないことを言ってしまう可能性があることを共有する

・重大な決断は先延ばしにするよう声掛けしてもらう

・楽しみまで消失するのが症状であり、相手に問題があって楽しめないわけではないことを共有する

・心苦しいけれど、約束事がすべてキャンセルになる可能性があることを共有する

軽症のうつ病エピソードでの対人ルール

・お出かけは半日まで、〇駅先までの範囲でなど、無理ない範囲にする

・睡眠優先なので、ラインなどのやり取りも〇時までとする

・まだまだ本調子ではないので、表情が暗かったり、相手が期待する反応ができないこと、それは相手のせいでないことを共有する

・相手が良かれと思って計画してくれたプランがまだしんどい時は、回復を優先して、正直に今はまだ難しいことを伝える

・うつ症状のために相手への想いが薄れたように感じられるかもしれないが、あくまで症状がそう見せていることを共有する

・本人に気を使い過ぎず、友人・恋人は自身の時間や楽しみも大事にしてもらう

軽躁病・躁病エピソードでの対人ルール

・刺激がさらなる刺激を呼ぶので、遊ぶ時間を〇時間までと決め、内容もできるだけ静穏な活動を選ぶ

・一緒に過ごすときは相手にも飲酒やカフェイン摂取を少し気を付けてもらう

・夜の遊び、お出かけは一旦中止とする。本人が制止できなければ、夜は眠るよう、促してもらう

・本来の本人なら言わないようなことを言ってしまったり、本来の本人ならしない行動をしてしまうことは症状によるものだということを共有する

・軽躁や躁の勢いでその関係における重大な決断をすることはNG。相手も真に受けないことを共有する

・症状のせいでお互いに嫌な思いをしないように、本人が上がっていても相手はそれに反応せず、冷静に話をしてもらう

・通常気分モードに近くなるまでは会わない

説明込みなので冗長になりましたが、ご自身と友人・恋人間でのオリジナルルールは端的に少ないルールにするとお互いに守りやすいと思います。

相手にばかり無理を強いている気がする場合

気分エピソード中のルールを見ると、相手への負担が大きいと感じるかもしれません。

友人・恋人からも「そこまでは対応できない」と言われるかもしれません。

通常気分モードの時に話し合っても少しの折り合いもつかないなら、少なくとも双極症の安定が図れるまではお付き合いが難しい関係かもしれません。

その時は一旦距離を置くのもお互いのためかもしれません。

何か通じ合える人なら、また時間を置いて向き合える日がくるはずです。

双極人側の心構えとしては、気分症状のある時には配慮をお願いする以上、内服を守り、生活リズムを乱さないことが大事です。

真剣に治療に向き合っている人なら、病状によって多少のトラブルが起こってしまっても相手は受け止めてくれる可能性が高いと考えます。

病気になったことで、状態によって付き合い方が変わってしまうが、それは「私の体質」だと思ってもらうこと。

こちらからは状態の良いときに相手との関係に注力するけれど、状態安定のために生活ペースを乱すような無理はできないことは少なくとも理解を得たいところです。

何かお返しができなければ人間関係は保てないもの?

ネガティブな思考に陥ると、「相手のために何もできない自分」がクローズアップされ、「相手に助けてもらってばかり」などと考えがちです。

でも、

相手のために何か有益なことが無いと付き合いはできないものでしょうか?

友人関係でも恋愛でも、その人に何らかの魅力があった、気の合うところがあったなどから関係はスタートします。

病気を持つようになっても、その魅力や感性の合うところは変わりません。

「相手のためを思って身を引く行為」は、その相手からすると、「病気を理由に遠ざけられている」と認識されるのではないでしょうか?

本当に相手のことを思うなら、落ち着いたときに気分エピソードごとのお付き合いルールを決めておき、「まだ今は病気をうまくコントロールできていないけど、少しずつ安定するようになって一緒に色んなことを楽しめるようにしたい。よかったら少し協力してね」と話してみてください。

また、何か特別なことをしてあげられなくとも、一緒にそばにいてゆっくりした時間を過ごすだけで十分ではないでしょうか?

質問者さんの彼氏さんが双極症のことを理解した上で「一緒にいたい」と仰っているのかどうかは分かりませんが、双極人には病気とうまく付き合っていくための「伴走者」が必要です。

ご家族に頼れないとのことですから、そういった関係に「伴走者」を求めることも決して悪いことではないと思います。

まとめ

もちろん決まった対処法はありませんから、上記のルールなどを参考にして、ご自身と近しい人の間の約束事を作ってほしいと思います。

そして、病気があってもなくても「あなたと一緒にいたら楽しい」「自分が望んであなたと一緒にいたい」と言ってくれる友人や恋人を見つけてくださることを願っています。

以上、「双極症、気分の波の中での友人や恋人との付き合い方。距離の取り方・頼り方」について解説してみました(‘◇’)ゞ

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