書籍出版のお知らせです。
10月22日に、南中の本が出ます。
タイトルは「みんなの双極症:日常の悩みから最新知識まで」です。
ご存知の方もおられると思いますが、
私はこれまでに様々な精神不調を経験してきており、
その一つが「双極症(双極性障害)」です。
家族にも精神疾患に悩む者がおりますので、
私は「当事者」であり、「患者の家族」であり、「治療者」でもあります。
そういった立ち位置にあることをマイナスに感じる方もおられるかもしれません。
私もそう思って苦しんだ時期があり、今もときに悩むことがあります。
しかし、単なる「治療者」ではなく、身をもって感じた体験や、
治療者以外の視点が役立つこともたくさんあると、今は考えています。
それは、患者さんやそのご家族と接する中で、
また、ブログやTwitterを通じた、患者さんや支援者の方とのやり取りの中で、
少しずつ実感できるようになったことです。
自分だけでは気づけなかったことがほとんどですから、
関わってくださったみなさまに感謝しています。
前置きが長くなりましたが、
そのような立ち位置から、今回の双極症についての本を書きました。
患者さんにも、そのご家族にも、支援者の方にも、
回復・援助のヒントになればと期待しています。
以下、書籍の紹介文です。
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双極症は、気分が落ち込み、意欲がなくなり、悲観的な考えになる「抑うつエピソード」と、
気分が高揚し、活動的になり、誇大的な考えになる「躁病(軽躁病)エピソード」を繰り返す病気です。
「うつ病」に比べて、まだまだ世間に認知されていない病気ですから、
双極症と診断された患者さんやご家族は、戸惑い、どう対処していったらよいのか迷われることでしょう。
私はブログ上で、「主治医には聞きにくいこと」をテーマに双極症患者さんからの質問に答えてきたのですが、
その一問一答を今回、一冊の本にまとめることになりました。
今までにも双極症の本は多数出版されていますが、
患者さんの困りごとや悩みごとに具体的に助言するものは少なかったように思います。
科学的根拠のある話から、私の治療者として、経験者としての経験からの回答となっている部分もあります。
質問への回答に「うんうん」と頷いてもらえることもあれば、
「ちょっと違う気がする」と感じられることもあると思いますが、
迷いや戸惑いの中にある読者のみなさん病気への理解を深めることや、
再発予防のための生活習慣を見直すことに役立てていただけると幸いです。
それらに加えて、この本をきっかけに、ご自身の困りごとについて、
主治医、家族、支援者などとコミュニケーションしてもらえることも期待しています。
私のクリニックのテーマは、「学ぶ、行動する、つながる」です。
双極症について正しい知識を得て、それをもとに行動して症状をコントロールしていきましょう。
また、孤立感は双極症と付き合う上でマイナスに響きますから、
何らかの形で同じ病に悩む人とつながり、力を得たり、経験知を分かち合ってほしいと願っています。