双極性障害100の質問

「双極性障害」から「双極症」に病名が変わります。そのワケは?

こんばんは。

シンプリストとなり、自分のエネルギー・時間・お金を最大限に活かすことで人を幸せにして、最終的に自分がめっちゃ幸せになることを夢想する双極精神科医・まつさく(@sakura_tnh)です。

前回記事の最後で告知した「双極性障害についての100の質問」企画を本日から始めます。

第1回目の質問は

なぜ「双極性障害」から「双極症」に病名が変わるの?

です。

はるか遠い昔から精神疾患は存在していた!

双極性障害を含めた「精神疾患」は現代の病気ではなく、はるか遠い昔から存在する病気です。

1377年、イギリスの王立ベスレム病院が精神疾患の患者を扱い始めたことが精神保健の歴史の幕開けであり、日本でも江戸時代にはお寺が精神科病院の役割を果たしていたことから分かるように、数百年前より精神疾患の存在は認識されていました。

一方、病気への理解は乏しく、「得体の知れない異常」であると人々から恐れられ、地域によっては宗教的な意味付けをされていました。

「病気(治療の対象)」という概念も無く、現在のような有効な治療法も存在しませんでした。

その実態の解明や治療法の研究が着実に進んでいる現在、正しい知識を持つ人が増えましたが、未だに偏った見方をされることがあります。

それは精神疾患患者の周囲の問題だけではなく、当事者自身の問題でもあります。

名称の変更が偏見や当事者の不快感を解消してくれる??

近年、

「障害」は「周囲に害を与える」ようなネガティブな印象があり、偏見を助長し、当事者を不快にさせるため、「障碍」や「障がい」と書くべき

という議論が起こり、障害者に配慮した自治体では可能な範囲で表記を変えるなどの対応をしています。
(どちらにせよ、法令の中や公的な書類上は、常用漢字である「害」を使用せざるを得ませんが)

ラベル(名称)を変えることにエネルギーを使うより、障害の実体についての議論や新しい試みがなされるべきだと個人的には思いますが、

その漢字の持つイメージから「精神障害者福祉手帳」の取得や「障害年金」の受給をためらう人がいるのも事実です。

「しょうがい」という音が変わらなければ、結局、人は「障害」の文字をイメージしてしまいます。

この表現自体の変更が近いうちになされるかと思います。

実は精神疾患はどんどん名称が変わってきている!

双極性障害が双極症に変わると聞いて「へー。名前が変わることがあるんだ」と感じた方も多いでしょう。

実は、

2002年に「精神分裂病」は「統合失調症」に

2004年に「痴呆症」は「認知症」に

呼称が変わっています。

若い方は後者のネーミングしか知らないかもしれませんね。
(統合失調症はさらに昔は早発性痴呆と呼ばれていました)

変更から10年以上経っていますが、病気へのイメージは良い方に変化しているでしょうか?

そして、2018年に大きな転機が訪れました。

世界保健機関の国際疾病分類第11版(ICD-11)の登場です。

ICD-11の登場を機に、病名をつける5つの原則が決定!

改訂に伴い、各疾患の日本語病名や用語について、日本精神神経学会では一般からも意見を募り、検討を重ねてきました。

その結果、以下の5つがネーミングの原則とされました。

病名翻訳の原則

①患者中心の医療が行われる中で、病名・用語はよりわかりやすいもの、患者の理解と納得がえられやすいものであること

②差別意識や不快感を生まない名称であること

③国民の病気への認知度を高めやすいものであること

④直訳がふさわしくない場合には意訳を考え、カタカナをなるべく使わないこと

⑤ICD-11では、原則として、disorderを「症」と訳すこと

参考:ICD-11新病名案に関するパブリックコメント募集

これまで英語の「disorder」を日本語に訳す際に「障害」としてきましたが、これが英語での意味に対応していないと、以前から問題視されていました。

本来は「変調」を意味する「disorder」が、固定した状態を想像されやすい「障害」という言葉に訳されています。

「disorder」を「症」や「変調症」と訳そうという意見もありました。

加えて、前述した、「病気についての偏見を助長しない」「当事者がその病名のために嫌な思いをしない」ことを考慮し、「disoder」を「症」と訳すことになりました。

例えば、こんな感じに変わることが予定されています。

知的障害⇒知的発達症
発達障害⇒自閉スペクトラム症
注意欠陥多動性障害⇒注意欠如多動症

そして、同様に、我らが(?)双極性障害は「双極症」とネーミングが変わることになりそうです。

下位分類については「双極症Ⅰ型」「双極症Ⅱ型」となります。

しばらくは移行期間であること、また、「症」の表記になると過剰診断がなされる恐れがあることから、以前の表記と併記されることになりそうです。

繰り返しになりますが、呼び方が変わっても、それはただそれだけのことです。

①病気の理解が広まること

②治療がより進歩すること

③当事者の方が病気と上手に付き合い生きること

などが本質的に大事なことです。

10年後、名称の変わった双極症を取り巻く世界はどう変化しているのでしょうか?

きっと良い方向に進んでいるはず。

楽しみです。

双極性障害・双極症(しばらくは併記します)についての質問を募集しています。

主治医にはちょっと聞きづらいな~ということがあれば、ぜひお寄せください。

参考:双極性障害についての質問を募集中

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