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双極性障害の患者さんに「これだけはやめてほしい」と思う3つのこと。

2019/04/17
双極症(双極性障害)100の質問
精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極性障害についての100の質問」企画、第4回目です。

今回のテーマは、

精神科医が双極性障害の患者さんに「これだけはやめてほしい」と思う3つのこととは??

です(; ・`д・´)

診察の限られた時間の中ではなかなか全てをお伝えするのが難しく、お話を聞いて「あ〜先に説明しておくべきだった」ということも実際にあります。

自身の診療経験も交えて列挙します。

みなさまも、ご自身に当てはまることが無いか、チェックしてみてくださいね☆

※番号順に記事にするのではなく、目についたものから回答させていただきます。

①処方されたお薬を自己判断で中止したり、調整することはNG

最初はやはりコレ。

大事なポイントです。

お薬の自己判断での中止や調整、やったことある人、手を挙げてください!

きっと、たくさんおられるはず(;’∀’)

「自分の体のことは自分が一番分かっている」

「次の受診まで日があるし待てない」

「周りの人に薬は飲まない方がいいと言われる」

色々な背景があると思います。

医師側の説明不足や、信頼関係の構築が不十分だという原因も大きいとは思います。

ただ、これは患者さんにとっての不利益が大きいので今後は気を付けてほしいところです。

精神疾患にはさまざまなものがあり、お薬以外の方法で十分に病状をコントロールできる疾患もあります。

一方、双極症では気分安定薬の使用&維持が病状安定のために必須アイテムです。

もちろんお薬が治療のすべてではありませんが、再発の繰り返しが認知機能の低下や社会上の地位をおとしめることにつながることを想像してもらえれば、とても大事なアイテムだと理解してもらえるのではないでしょうか?

精神科医はココを見ている!

精神科医は、以下のことを考えながらお薬の内容を考えています。

①今のお薬で十分に気分の波がコントロールできているか

②今のお薬で困った副作用が出ていないか

③今のお薬で飲み忘れが発生しやすくないか、飲みにくさはないか

④どれくらいきちんと内服できているか

なので、主治医の知らないところで、こっそりお薬を止めていたり、間引きしていたりすると、

「この処方であまり良くない状態だから、より多くの量が必要では?」

などと、誤った判断をしてしまう恐れがあります。

正直に中断・調整したことをおっしゃってくださるとしても、急な中断や減薬で病状が激しく悪化したり、お薬を減らしたことそのものによる症状が出てしまうことがあります。

お薬についてのお願い

①薬の内容に理解しにくい点、不満や納得できない気持ちがあれば、診察の中で気になる点は聞いてください
(薬局でもOKです)

②次の診察までの間に疑問や副作用で困ることが出たら、電話で問い合わせてください

③専門家でない周囲の人の意見はあくまでも参考にとどめてください

②夜更かし、運動不足、飲酒、カフェインの摂りすぎなどの生活習慣はNG

次にやめてほしいのは、双極性障害の患者さんにとって良くない生活習慣です。

他の精神疾患の方、はたまた健康な方に大事なポイントでもあります。

※うつ病相でちょっとした活動をすることも困難であるとか、病状から難しい習慣については除外します。

基本的には、起床時間が一定で、三食食べる、規則正しい生活をして、30分散歩する程度の適度な運動を行い、飲酒・喫煙はしない、カフェインも摂りすぎない生活を送ってほしいところです。

え〜!
そんな出家したような生活とか無理!
つまんない!

と思われる方もいるでしょう。

私も若い頃は、夜更かしして好きなことをして過ごしたり、お酒もはめを外して飲むことが人生の楽しみだ〜なんて思っていました。

でも、明らかに「規則正しい生活」「はめを外さず淡々した過ごし方」が心身ともに安定をもたらしてくれると今は感じます。

双極性障害があると、夜更かしや、人付き合い、さまざまなイベント、飲酒などにより、急激な躁転(うつ状態から躁状態に移行すること)がひき起こされることがあります。
(思い当たることはありませんか?)

躁状態になれば、その後、多くのケースで患者さんが一番耐えがたいうつ病相に移行してしまいます。

現時点でうつ病相であれば、生活リズムの乱れが寝込むほどの疲労につながることも。

激しい症状には結びつかないとしても、少なくとも気分の変動が大きくなります。

素晴らしい生活習慣を手に入れたと思おう!

良い生活習慣はこの病気のコントロールの上で大事なだけではありません。

言うまでもなく、内科的な病気の予防にもつながり、病気は無いけど生活習慣がめちゃくちゃな人より日中のコンディションは明らかに良好になります。

病気を通じて、一生モノの最高の生活習慣を身につけられたとしたら儲けものです。

③周囲の根拠の無い意見に惑わされることはNG

最後のポイントも、とっても大事なことです。

精神疾患全般に言えることですが、病気に理解があり、あなたのことを心から心配してくれる人以外の周りの人は、“その人たちの立場や考えから” 好き勝手なことを言ってきます。

せっかく病気を受け入れる気持ちになってきたところに水を差したり、病気について誤った考えを押し付けてきたり、病気と人格を混同して非難してきたり。。

「薬を長期間飲むなんてあり得ない」

「病気じゃなくて心の持ちようでしょ」

「何でも病気って言えば許されると思ってるんだから」

etc…

患者さんもそれらをはねのけられる方ばかりではなく、動揺したり、自己否定感を強めたリ、治療に批判的な気持ちになったりされます。

そんなエピソードを聞くと、

患者さんを惑わすんじゃな〜い!!

と怒りモードになります。

とくにうつ病相の時はネガティブな思考に陥りやすいので、要注意です。

ありがたい助言やメッセージもありますから、その区別が難しい場合もあると思いますが、治療の根幹にかかわることで気持ちが揺れたときは診察時に話題にしましょう。

今後、双極性障害についての正しい知識と理解が広まり、こんな注意書きをする必要が無くなることを祈っています。

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