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双極性障害の患者さん、病気が良くなりそうな人の6つの傾向とは??

2019/04/19
双極症(双極性障害)100の質問
精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極性障害についての100の質問」企画、第5回目です。

今回のテーマは、

病気が良くなりそうな人の傾向としてはどんなものがありますか??

質問にある「良くなる」ことを「気分の波が上手にコントロールできる」「病気と上手に付き合える」ことと考えます。

今回はこのテーマで6つのポイントを解説していきます。

ご自身と照らし合わせてご覧くださいね(^_-)-☆

①病気を早い段階で受け容れられている

双極性障害に限りませんが、何なら精神疾患にも限りませんが、自分の病気を受け入れることができてからが、本格的な治療のスタートになります。

診断を受けてから長い間、病気を否認(認めないこと)し、受容(受け入れること)が進まなければ、通院を続けていたとしても、治療はうまくいかないでしょう。

発症後はしばらく受診していても、自己判断で内服や通院を不要と判断し、通院が途絶えてしまうことも多いです。

「発症後どれだけ早く本腰を入れた治療が開始できるか」

「安定を得られるまで切れ間なく治療を続けられるか」

この2つが運命の分かれ道と言ってもよいでしょう。

そのためには病気の受容は欠かせません。

②治療者との関係が良好である

次に、治療者との関係がポイントとなります。

現在の、あなたと主治医の関係はどうでしょうか?

・診察時に伝えたいこと、聞きたいことが十分話せる時間がありますか?

・診察室では何でも話せる雰囲気がありますか?

・治療や回復について、二人三脚で一緒に考える体制ですか?

・一方的に指示され、従う関係ではありませんか?

・こっそりお薬を減らしていること、生活が乱れていることを隠していませんか?

医師側が、上記を十分に配慮する必要があるのですが、SNS上で患者さんの意見を見ていると、残念ながらそうでない医師がいるようです。

現在、良好な関係に無いという方は、希望することを主治医に伝え、改善が無ければ転院も考慮しましょう。

それほど、主治医との関係は治療や回復において大切です。

③地味〜な努力をコツコツと続けられる

3つ目は、最初からできる人は少ないだろうポイントです。

例えば、糖尿病と診断された人が、食事や運動などの生活習慣を適切にするよう医師から言われたとします。

処方されたお薬をきちんと飲める方はまずまずの数でしょう。

しかし、生活習慣の改善という、地味〜で、長期戦となる課題に早々に取り組める方は少ないでしょう。

糖尿病性網膜症や腎障害など、重篤な状態になりかけて、やっと真面目に取り組める人が多いと想像されます。

双極性障害の場合も、気分の波を繰り返し、ラピッドサイクラーになってしまったり、認知機能障害が通常気分の時期にも残存するようになってから慌てて取り組み始めても、それらの回復は難しいものです。

よって、症状が明らかになって早々に、

生活リズムをただす、過度な刺激や活動を避ける、気分の波を記録するなど、

地味〜でコツコツ続けるほかない作業に取り組める人はそうでない人より良好な経過となるでしょう。

④併存疾患(合併症)が無い

双極性障害には多くの併存疾患(合併症)があります。

主だったものとしては、不安障害、摂食障害、ADHD、依存症、パーソナリティ障害です。

2つ以上の併存疾患を持つ人もいます。

例えば体の病気で、高血圧・喘息・関節リウマチを併せ持つ人が全ての病状を良くして安定するためには、高血圧だけを持つ人より治療は大変なことが想像できると思います。

精神疾患の併存の場合は、「気分」の変動により「不安」や「食行動の異常」が増減するなど、疾患と疾患が影響し合います。
(内科や他の疾患でもAのコントロールが不良だとBのコントロールも不良となるなど、影響し合うことはあります)

裏を返せば、双極性障害がうまくコントロールされれば、併存疾患も改善が見られます。

Ⅰ型よりⅡ型においては併存疾患が多く、半数以上の人に見られる

と言われているので、これをご覧になられている方の多くが何らかの疾患を併存していると思います。

もし、併存疾患が無ければ、病状のコントロールにおいては有利かもしれません。

⑤支えてくれる人がいた or 見つけた

②の治療者との関係にも通じますが、同居する家族、離れて住むが協力体制のある家族、友人、知人、職場の同僚など、心の支えになってくれる人がいる人は幸いです。

病気と向き合っていく、つらく・果てしなく感じる作業を

支え、寄り添い、あなたの存在を病気ごと肯定してくれ、ときに厳しくも的確な言葉をくれる

そんな人に一人でも巡り合えていたら、治療を続けるにおいて、こんなにも心強いことはありません。

病気の回復・安定において大きな力になることでしょう。

家族や友人にそんな期待は難しくて、今は心の支えになる人に巡り合えていない場合も、諦めず、対人アンテナを張っておきましょう。

⑥病気の良い面にも目を向けられる

最後のポイントです。

「病気」と聞いて、パッとポジティブなイメージが浮かぶ人は稀だと思います。

一方で、「病気」に対するネガティブなワードは挙げようと思えばいくらでも出るのではないでしょうか?

つらい、苦しい、痛い、不快、生活が制限される、体の機能が落ちる、できていたことができなくなる、お金がかかる、etc…

まずは、病気の受容のプロセスが欠かせませんが、その上で、病気になったからこそ感じ得ること、マイナスをプラスに変えていける発想を自分の中に見つけていってほしいと思います。

・予定した活動が予定通りに行えることの幸せを感じられること

・精神疾患からくるつらさを、身をもって知ったことで人に配慮できるようになること

・病気を持つ自分を受け入れて、そばにいてくれる人の存在に気づくこと

・気分変動時のつらさに比べたら、こんなの大したことないなと思えるタフさ

・病気を通して失ったものが多いかもしれないけれど、その大切さを身に沁みて感じられること

・無茶な生き方をしていたことに、病気が警鐘を鳴らしてくれたことへの感謝

・朝起きられて、食事が美味しいと感じられて、穏やかに人と交流できる。そんな当たり前のことが当たり前でないと知ること

・病気を通じてしか得られなかっただろう、人とのつながり

・人生について、自分について深く知るきっかけを与えられたと感じること

こちらも意外と、挙げればキリのないポジティブな側面がありそうです。

「物事は多面的なもの」と、常に意識したいところです。

あなたがもしすでに病気の良い面に目を向けられているなら、回復に近い人だと思います。

以上、双極性障害が良くなりそうな人の5つの傾向についてでした(‘◇’)ゞ

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