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双極性障害の人が働く際に、会社に配慮してほしい7つのポイントとは?

2019/04/20
双極症(双極性障害)100の質問
精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極性障害についての100の質問」企画、第6回目です。

今回のご質問は、

双極性障害を抱えながらサラリーマンとして働いています。仕事をしていく上で、会社に配慮してほしいことはありますか?

です(・∀・)

そりゃあ、できることなら、あれもこれも配慮してほしいですよね。

今回は、その中でも大事なポイント7つを解説していきたいと思います。

①業務量、業務時間へ配慮してもらう

業務量」や「業務時間」、もし可能なら「業務内容」も、「一定」がベストです。

双極性障害の患者さんにとって、

①生活リズムが整っていること

②ストレスが過大でないこと

この2つは、病気のコントロールにおいてベストオブ大事なことです。

できれば、出社時間、退社時間は一定、せめて残業するとしても1時間以内などと配慮してもらえるとよいです。

医療職、介護職、警備員、24時間営業のお店など、夜間の仕事がありうる職種の場合は、要注意です。

私の場合、週に1回(多くて2回)の当直業務をしていますが、トータルで6時間は眠れていますし、それ以外の日は日勤ですから、大きくリズムが崩れることはありません。

徹夜レベルでの夜間の仕事は、現在精神疾患の無い人でも心身の健康を害する恐れがあります。

看護師さんのような三交代勤務は毎日、リズムが変わってしまうので、双極性障害の方にはオススメしません。
(病菌の外来やクリニック勤務、もしくは夜勤無しでの勤務はOKです)

また、仕事をしていく中で、携わる業務が変化することは当然のごとくあるわけですが、事務作業から営業職など、ガラリと業務が変わることは避けてもらう方がよいです。

今の業務内容が病状に差し障る場合に、病状に配慮した業務内容にガラリと変えることは問題ありません。むしろ推奨します。

②仕事内容を共有してもらう

万が一のために、あなたがいないと大変な事態になる働き方だけは回避しないといけません。

チームで取り組む業務が推奨され、個別で行う業務でも定期的に進捗状況などを共有しておくことが大事です。

病気のためでなくとも、情報の共有はしておくにこしたことはありませんから、会社側にも積極的に促してもらいましょう。

③通院で仕事を休むことがあることを了解してもらう

クリニック通院で土曜日など、出勤日以外で通院できれば問題ありません。

精神科単科の病院で主治医の外来の曜日が平日の場合などは、2〜4週間のサイクルで受診のため時間休、もしくはお休みが必要なことを理解してもらう必要があります。

病状を安定させることで、仕事を安定して行うために必要な受診ですから、このポイントが叶わないと、病気を持ちながら働くことは難しいかもしれません。

④病気の概要を理解してもらう

どんな病気で、どんな症状があるのか。

とくに双極性障害の場合は、うつ病相、躁病相、寛解期(通常気分の時期)で、症状が異なり、周囲からすると、「人が変わった」ように感じられることもあります。

仕事の能率に波が出る可能性や、症状が強いときはやむを得ずお休みをする可能性もあります。
(あまりにアップダウンが激しく病欠が続くようなときは、就労自体が適した状態かどうかの見直しが必要です)

誤解を生まないためにも病気について知っておいてもらいましょう。

そもそも、双極性障害であることをそのまま会社に伝えられる人は、今はまだ少ないかもしれません。

これは主治医とも相談されて、

①正確な病名を伝える

②ぼやかした病名を伝える

職場の精神疾患への理解度や、ご自身の病状コントロールの状況により、どちらかを選びましょう。

病状がまだ十分にコントロールされていない場合は、症状からの言動や振る舞いを人格の問題などと誤解される恐れがありますから、その場合はハッキリと伝えておいた方が、お互いにストレスが軽減すると思われます。

クローズで働く場合

話は逸れますが、③として、クローズで(精神疾患があることを隠して)働かれる場合、会社側にメンタル面への配慮を期待することは困難ですから、それなりの覚悟がいるかと思います。

色んな考え方がありますし、現在でも精神疾患への偏見はありますから、この選択肢も間違いではありません。

気分の波が激しい場合は早晩知られてしまうリスクもあるので、十分に病状が安定している方にオススメする働き方です。

⑤会社の他のメンバーに対しプライバシーを守ること

フルオープンで働くケース(障害者雇用含む)以外では、直属の上司や、普段から頼りにしている同僚には正確に病名を伝え、それ以外の人にはぼやかして伝えてもらうことがあります。

今現在も「双極性障害」は伝えるハードルが高い精神疾患です。

会社で働くにおいては、あなたがまっとうに業務を遂行することさえできれば問題ないわけですから、全ての人に正確な病名を言って回る必要はありません

一方で、会社で関わるメンバーに何も伝えておかないことも疑心を生んだり、誤解をされる恐れがありますから、何か他の精神疾患として伝えるのが得策です。

「うつ病」「適応障害」「神経症」「自律神経失調症」

正直でいることが最善でもありませんから、こんな病名で周囲にとりあえずの納得をしてもらいましょう。
(悩むときは主治医に相談してくださいね)

会社側は、本人の希望があれば、以下を守ることです。

「キーとなる人以外に伝えない」
「病気に関するプライバシーを厳守する」

それが本人が安心して働ける条件となります。

もし、ご自身が全ての人に知っておいてほしいと思われるなら、それが一番です。

良い意味で、客観的に、あなたの病状が悪化していないか、安定しているかを見てくれ、助言をしてくれる人もいるでしょう。

⑥できること、できないことを把握してもらう

あなたは病気をもつ「○○さん」であって、病気が主では無いにしろ、病気によって仕事に影響が出る可能性があることは事実です。

会社側は、本人の「できること」「できないこと」「ストレスに感じやすいこと」「○○な時はどう対処してほしいか」などを聴取します。

そして、「これは配慮できる」「この点は正直に言って配慮は難しい」などと示し、一貫した態度で本人に接することが大切です。

また、具体的に「このような状態になったら仕事を休んでもらわざるを得ない」「このような状態のときは残業禁止」など、ルールを決めてもらえるとなおよいです。

躁状態にしろ、うつ状態にしろ、波が大きくなると、自身を客観視することは困難となりますから、取り決めは有用です。

⑦受診に付きそう

とくに一部オープンにして働くことが必須の病状の場合は、一度、直属の上司に受診に付き添いいただくことが大事です。

会社の方は、主治医に会い、直接説明を聞いたり、質問をすることで安心することが多いです。

これは本人にとっても良い効用です。

自身の診療経験上も、会社の方と面談した後、状態悪化時に会社の方が受診を促してくれたり、電話連絡をくださったことがあります。

守秘義務がありますので、会社の方に本人の了解無しに病状などを説明することはできませんが、本人にとって大きな支えだと感じました。

通院先によっては、会社の人だけと面談する場合は別料金で面談することもありますので、まずは主治医に相談してみましょう。

以上、7つの「双極性障害の人が働く際に、会社に配慮してほしいポイント」をお伝えしました(‘◇’)ゞ

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