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双極性障害、うつ病相ではできる範囲で活動すべき?or 寝ているべき?

2019/04/23
双極症(双極性障害)100の質問
精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極性障害についての100の質問」企画、第9回目です。

今回のご質問は、

うつ病相でもできる範囲で活動したほうがいいと聞きますが、やっぱり寝ているだけより、何かしたほうがいいですか?

です(・∀・)

うつ状態は心身ともにつらいですよね。

躁状態・軽躁状態からうつ状態に移行したときは、その落差に激しく落ち込み、躁状態での振る舞いや言動を後悔し、自責的になることも少なくありません。

意欲が低下し、終日ベッドで過ごす状態になる人も多いです。

そこまでではなくとも、通常気分の時には楽しめていた趣味や活動ができなくなり、仕事や家事、対人交流に支障をきたすことはあります。

そんな時、気分が浮上するまでじっと休んでいる方がいいのか、その時々の状態の中でできる活動をする方がいいのか、悩みませんか?

悩むと言うより、主治医は何か活動するよう促すけれど、とてもそんなことはできそうにない、それくらいつらい、と感じる方もおられるでしょう。

うつ病相では、できる範囲で活動すべき?寝ているべき?

最初に結論を言います。

ご質問にあるように、うつ状態の時でも

「できる範囲で活動した方がよい」

というのが答えです。

一方で、

「うつ状態のときはこうしましょう」という、たったひとつのルールはありません。

なぜなら、ひとくちに「うつ状態」と言っても、個々に症状のレベルの違いがあるからです。

また、1人の人の「うつ状態」でも経過中にうつ状態のレベルは変化し、その時々での助言は異なるからです。

でも、しんど過ぎて何もできないんですけど?

ツイッターでも、「現状でできることをしよう」という主旨のツイートをすると、「無理です」「できません」という反応が必ずあります。

極限のうつ状態の時は確かにそうでしょう。

一方、最低限の身の回りのことができている状態だとしたら、意外とできる活動はあるものです。

最低限の身の回りのことができている状態は、少なくても何か口にしている、トイレに行ける、時々着替えや歯磨きができる、ベッドから少しでも体を起こして過ごせる時間があるようなレベルを想定しています。

もちろん、うつ状態のため認知(モノのとらえ方)が偏り、できること探しができない、自身に対して力があると感じられないために「今は何もできない」との思いに至ってしまうことはあります。

だからこそ、このブログを読めるくらいの力がある時に、次のひどいうつ状態に備えて、できることをピックアップしておくのが大事です。

1人で取り組むのもいいですが、ヒントを出してくれる誰かと取り組むのは尚良いです。

主治医はもちろん、家族、信頼できる友人、訪問看護師さん、通所先の職員さん、誰でもOK。

「このような状態の時にできる活動をピックアップしているんだけど、助言をもらえませんか?」

と相談してみましょう。

客観的な意見はめちゃくちゃありがたいものです。

「その状態の時は〇〇は厳しいんじゃない?」

「その状態なら〇〇も出来るんじゃない?」

などの意見はソッコーでメモっておきましょう。

でも、しんどい時はしっかり休んで、力が出てきてから活動しはじめた方がいいのでは?

こう考える方も多いですね。

骨折した人をイメージしてみましょう。

骨折後、安静にし続けて「いつか万全の状態になったら走り出そう」と考える人がいたらどう感じますか?

「少しずつ体を慣らしていかないと。急に走れるようにはならない」

「安静が必要な期間を超えて、安静にし続けていたら体力が落ちてしまう」

などと感じる方が多数だと思います。

うつ状態も同様です。

寝たきりのままでずっと過ごして、ある日突然シャキッと活動できるようになることはまずありません。
(躁転の時くらいですね)

よって、しんどい中でもその状態で可能な活動をコツコツこなしていくことが回復への最短ルートになります。

うつ状態の抑うつ気分、意欲低下、興味関心の喪失などに注目し、加えて体力の程度により、適切な活動を行うのがよいでしょう。

ただ、前述した通り、モノの見方が偏っているため、また認知機能の低下のため、その状態で想定される活動を超えた活動を自分に強くリスクがあり、客観視してくれる支援者がいるとベターです。

うつ病は1回こっきりで収束することがある一方、双極性障害は基本的には気分の波を繰り返す病気です。

ただ、波に翻弄されるのではなく、すべてのエピソードを経験知とし、フィードバックして次の波に備えるのが双極性障害とうまく付き合うコツのひとつです。

自分のうつ状態の症状や経過の特徴をつかみ、その時どう過ごしたことが良かったのか悪かったのか、振り返って、可能なら文字にしておきましょう。

それを支援者や主治医と共有できれば最高です。

「客観的に見て、今はこれくらい回復しているからこれくらいの活動を始めてみたらどう?」と、家族も助言してくれるに違いありません。

「何となく言いたいことは分かるけど、具体的に言ってもらわないとやっぱり分からない(;´Д`)」

という方のために、次回はうつ状態のレベルに応じた具体的なオススメ活動について解説します。

以上、双極性障害のうつ病相ではできる範囲で活動すべき?寝ているべき?について解説してみました(‘◇’)ゞ

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