双極症(双極性障害)100の質問

双極性障害、うつ病相での病状レベル別「やることリスト」その②

精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極性障害についての100の質問」企画、第11回目です。

今回のご質問は、

「うつ病相でもできる範囲で活動したほうがいいと聞きますが、やっぱり寝ているだけより、何かしたほうがいいですか?」

の続編。

「双極性障害、うつ病相で状態に応じて行うべき具体的なやることリスト・その2」

です(・∀・)

前回に引き続き、うつ状態のレベルに応じたやることリストを解説していきます。

参考:双極性障害、うつ病相での病状レベル別「やることリスト」その①

前回はレベル①~③を取り上げました。今回はレベル④~⑥です。

うつ状態の度合いが重い順番に見ていきましょう。

レベル④精神症状は残るものの、少し外出や家の外での活動に関心が出てきた

うつ症状は波がありつつも持続しているけれど、自宅内での日常生活は安定してきた頃です。

前回のやることリスト①~⑩は同様ですが、少しずつ活動のレベルを上げてみましょう。

やることリスト⑪「窓を開けて過ごす」

季節によっては開けづらいかもしれませんが、そろそろ季節を感じる余裕も出てくる頃です。それを感じられたことがしみじみ嬉しくなると思います。

とくに夏以外では、ヒンヤリした外の空気を吸うとリフレッシュもできますよね。

また、次の段階では安定して外に出ていくんだと、窓を開けながらプチ決心しましょう。

はじめは5分から、開けるスキマも細くてOKです。

やることリスト⑫「体力作りをする」

まだ、外出のハードルは高いので、室内でできることから体力作りを始めましょう。

ストレッチをしてみると、こんな風に手や足を動かしていたのかとビックリしたり、動きがぎこちなさすぎて苦笑したりします。

体のリハビリですね。はじめは少し伸びをするくらいでOK。肩より上に両手を上げる動作を繰り返すだけで、かなり体はほぐれます。

コツコツ続ける中で、元気だった自分の身体感覚を少しずつ取り戻せ、自信もわいてきます。

リズム運動はセロトニンアップ効果もありますから、ステッパー運動や踏み台昇降運動もおすすめです。場所もとりません。

室内でできる運動のメリットは何より天候に左右されないことです。

この習慣ができていると、次のレベルで外での運動を取り入れた時に、雨天時は室内運動をすることにして運動習慣が途切れないように役立ちます。

やることリスト⑬「通院の行き帰りにプチ活動をする」

定期的に行える外出は「通院だけ」という方が多く、ほかの何かを目的に外出するのは難しいでしょう。

貴重な外出の機会を少しでも活かすことにしましょう。

これまでは、診察に行って帰ってくるだけで疲労困憊だったと思いますが、このレベルではもうひとつプチ活動を加えても大丈夫なくらいはエネルギーが湧いてきているはずです。

診察後、お薬を受け取ってから、

・元気なころはよく行っていたカフェで30分ほど過ごす

・本屋さんに立ち寄って、雑誌など、読むストレスが低いものに目を通す

・公園で腰かけて、自然を感じてみる、行き交う人々をぼんやり眺めてみる

・ペットショップでお気に入りのワンコorニャンコのベスト3を選抜してみる

などなど、ふと「○○したいな~」という自然な気持ちが湧く活動ができると良いですね。

これも、次のステップへの準備と考えましょう。

やることリスト⑭「食べたいものを食べる」

食事が少し美味しいと感じられたり、過食傾向の人も落ち着いて食事ができるようになっている頃です。

「食が楽しみ」「美味しいものを食べると幸せな気分になる」という方は多いと思います。

とくに1人暮らしですと、うつ状態がひどいときは簡単に口に運べるようなもので済ませがちです。

「今日、今、食べたいものは何だろう?」

と、自分の心に聞いてみて、外出時にお目当てのものを買いにスーパーに行ってみましょう。

はじめは調理の不要な出来合いのもので十分です。

大型スーパーでの買い物がまだしんどい方は、買い物のストレスの比較的低いコンビニで好みのものが無いか探してみましょう。

この時は、おうちにあるお皿に食べ物を移して、可能なら少し盛り付けもこだわってみてください。

食べるときは、ながら食いは避け、TVは消し、スマホは少し離れたところに置き、食事に集中しましょう。

一口一口よく噛むことを意識しましょう。

ゆっくり、味わって食事をすることは、それだけで自分自身を大切にすることにつながります。

大事な自分のために、時間も手間もかけて食事をしましょう。

うつ状態からの回復には、周囲の人からの温かな支えはもちろん、自分が自分を大切にすること、自分で自分を癒す・いたわることが必要です。

丁寧に淹れたお茶を味わう、などもよいですね。

レベル⑤精神症状は軽度残るものの、一日一度は外に出ることができる

うつ症状が良くなってきた実感はあるものの、まだ一日一度外出すると日によってはかなり疲労するレベルです。

やることリスト⑮「午前中10時ごろまでに、外に出る習慣をつける」

これも段階を踏み、初めはお昼までに出れたらOKにしたり、晴れの日だけでOKにしたり、習慣化することが優先されるので、外にいる時間も5分でOKとしましょう。

「外に出る」というと、しっかりした目的のある、少なくとも1時間程度の活動をイメージされる方がおられます。

ここでの「外に出る」は、やはり他の項目と同様に「ゆるゆる」なイメージです。

「ベランダで5分過ごす」➡「玄関から出たところで5分過ごす」➡「自宅周囲を10分歩く」➡・・・

大げさに考えず、外で少しでも過ごせたら「できた」と自分を誉めましょう

着替えの項でも記載したように、外出着は決めておいて、出る前に悩まないようにしましょう。もちろん、服選びが楽しめるくらいなら楽しんでくださいね。

やることリスト⑯「人と会ってみる」

うつ状態から回復した状態は、生活リズムが安定し、一人で身の回りのことができ、趣味や楽しみをもてるような状態ことをイメージしますが、それらに加え、安定した対人関係があります。

うつ状態のときは普段仲良くしている人とも疎遠になってしまい、「誰とも会う気がしない」「家族以外の人に会うとどっと疲れる」などと感じます。

この時期くらいから、対人の力を蓄えるために、無理のないペースで人と会ってみましょう。

最初は、あなたの交友関係の中で最も信頼できる、一緒にいてストレスの無い人に会ってみましょう。

外出して会うのがしんどい場合は自宅に来てもらいましょう。

まだ本調子でないこと」を断った上で「疲れない程度の時間で会ってお話したい」と声をかけてみてください。

相手はきっとあなたのことを心配しているでしょうし、どんな状態にあるか気にしているでしょうから、言える範囲で病状を事前に伝えておくとベターです。

やることリスト⑰「寝すぎない」

双極性障害のうつ状態では、「眠れなくなる人」と「眠りすぎる人」に分かれます。

回復の過程では、前者の人は少しずつ睡眠時間が長くなり、後者の人は少しずつ睡眠時間が短くなってきます。

この時期に気を付けたいことは、睡眠時間は通常気分の時期のプラス2時間ほどに留めることです。

「まだしんどい時期だし、たくさん眠るのがいいよね?」

「ハッ!気づいたらお昼!?」

こんなことが数日おきにでもあれば、生活リズムは整っていきません。

2週間に1度の通院日、家族以外の人と会う予定があったなど、何か特別な日であれば強く疲労を感じることはありますから、多めに睡眠時間をとること自体は問題ありませんが、長くなりすぎないように注意しましょう。

普段の睡眠時間+2時間でも眠気が強い場合は、30分以内の仮眠をお昼の14時までに行い、調整しましょう。

レベル⑥精神症状は日によって感じるが、通常気分モードの自分に近くなっている

うつ状態から通常気分への移行期に入ったら意識するべき点をまとめます。

やることリスト⑱「通常気分モードの生活を試し始める」

精神的にも体力的にもまだまだと感じることはあるでしょうけれど、「リハビリの佳境」ととらえて「通常気分モードの生活」に取り組んでいきましょう。

お仕事をしていた方(とくに同じ職場への復帰予定の場合)は、平日は出勤時間に間に合うように朝の準備をし、可能なら会社近くまで移動をします。電車通勤なら電車に乗ることも試しましょう。

日中は図書館などで体を起こして過ごします。もちろん短時間から始めましょう。

学生さんも同様ですね。

主婦の方や、ひとまず仕事をすることは目指さない場合も、通常気分であれば、行っていた生活を具体的にイメージしてみて、平日や休日の過ごし方をシミュレーションし、行動してみましょう。

楽しみや息抜きの活動など、夜の過ごし方や休日の生活のシミュレーションもお忘れなく

やることリスト⑲「安定・維持に努める」

病状は一進一退で、直線的に回復しないことがふつうです。

なので、少し後退する局面があっても、悲観しすぎず、「回復の過程とはそういうものだ」と冷静になりましょう。

そして、生活リズムを守ること、日中の活動内容や時間などへ注意を払うことを意識して過ごしましょう。

やることリスト⑳「躁・軽躁の兆候に注意する」

気分が上がり、意欲が出てくることはとても嬉しく感じられるでしょう。一方で、双極性障害ではうつ状態から一気に躁状態に移行する「躁転」のリスクがあることを忘れてはいけません。

とくにⅠ型の人は躁症状の兆候を感じたら、すぐに主治医に報告しましょう。

Ⅱ型の人も同様に、躁転の注意サインを日々自己チェックしながら慎重に過ごしていきましょう。

「双極人」も人それぞれであること。

2回にわたり書いてきましたが、うつ状態の抑うつ気分、意欲低下、興味関心の喪失などに注目し、加えて体力の程度により、適切な活動を行うのがよいですね。

お気づきの方もおられると思いますが、これらのやることリストは一例なので、「私はこの病状レベルですでに〇〇ができる」「〇〇と書いてあるけど、かなりハードルが高い」ということもあります。

人には性格や志向、苦手な分野・得意な分野など、多様な個性があります。

よって、同じ「双極性障害」という診断がついていても、経過やその時々に遂行できるぴったりなこと・しっくりくることは1人1人違います

人と比べず、自分基準で「できること」を探していきましょう。

前回と今回の内容を参考にして、ご自身だけの「オリジナル・病状レベル別やることリスト」を作っていただけたらと思います。

また、2回にわたり、長々と具体例を挙げてみたのは、うつ症状がそれなりに改善してきている時にも「できることなんて何もない」と仰る方が多いからです。

うつ症状がそう思わせる部分はあるにせよ、しんどい時にも「できることはある」と思えるヒントになればと考えました。

うつ症状がひどい時にはもちろんそうは思えませんから、回復期、通常気分時にこのことをしっかり頭に入れていただき、

「何もできる気がしないけど、そういえば、そう思うのはうつの症状のせいだった。少しはできることがあるんだった」

と思ってもらえたら幸いです。

以上、「双極性障害のうつ病相で状態に応じて行うべき具体的なやることリスト・その2」について解説してみました(‘◇’)ゞ

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