双極症(双極性障害)100の質問

双極性障害、躁状態を防ぎたい!躁状態への移行に気づく5つのコツとは?

精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極性障害についての100の質問」企画、第12回目です。

今回のご質問は、

「気分のグラフ・チェックシートは付けていますが、躁状態の気分の変化に自分で気づけません。何かいい方法はないでしょうか?」

です(・∀・)

双極性障害は躁・軽躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。

上下どちらの気分の波にも、早めに気付いて対処することが、病気と上手に付き合い、コントロールしていくことには欠かせません。

経験してみないとなかなかその感覚は分かりづらいのですが、うつ状態への変化には比較的気づきやすい一方、躁・軽躁状態への変化には気づきにくいものです。

気分の移行の兆候に気づけず、対処しないままでいると、激しい躁状態に至ってしまい、病識は全く欠如し、治療すべきという考えは持てなくなってしまいます。

最悪の場合は本人が望まない形の入院となり、大事な人との関係、社会的な地位、財産を失ってしまうことすらありえます。

そこまで至らないとしても、躁・軽躁の状態ではエネルギーを非常に消耗するので、引き続きうつ状態が出現し、その高低差に苦しめられます。

躁・軽躁状態を早期に認識し、対処することは双極人として生きるにおいて大事なポイントです。

なぜ躁・軽躁状態の兆候に気付きにくいのか?

うつ状態の兆候には気づきやすく、躁・軽躁状態の兆候に気づきにくい理由として、以下のことが考えられます。

うつ状態

・苦痛に感じる
・生活への支障が大きい

躁・軽躁状態

・苦痛でない
・その状態になることを望む心理がある
・自身も周囲も「通常気分の元気な状態」と区別がつきづらい

①躁・軽躁状態は苦痛ではない

うつ状態は心身ともに非常につらいので、本人もかなり警戒しているものです。

「なんだか気分が落ちている気がする」

「悲観的な考えが湧いてくる。もしかして?」

などと、自らピンときて、早々に家族や主治医に相談するでしょう。

一方、躁・軽躁状態はイライラの症状を伴う場合は本人も苦痛に感じることはあるものの、基本的には気分は爽快で、何でもやれそうな万能感に満ち、本人は心地よい状態です。

本人は困らない代わりに周囲が困惑する状態です。

「うつ状態でできなかったことを取り戻そう」と考えたり、「できるだけ躁・軽躁が長く続いてほしい」などと望む人も多いです。浅はかな考えに感じるかもしれませんが、それだけうつ状態はつらいということの証明でもあります。

うつ状態はⅠ型Ⅱ型ともに、病気の期間の多くを占めます。

参考:双極性障害でⅠ型とⅡ型を診断し区別することの3つの必要性とは?

主治医や周囲の人から口酸っぱく「躁状態の兆候には気をつけて。すぐに報告して」と言われていても、心のどこかで「これって・・・」と思いながらも、「いや、通常気分の範囲内だよね」とスルーしてしまいがちです。

②「ふつう」の自分との区別がつきづらい

当たり前のことですが、「躁・軽躁の自分」「通常気分の自分」は別人ではありません。

短時間で一気に躁転する場合は気づくも気づかないも無いのですが、じわじわと移行している場合、両者はグラデーションでつながっているため、明確にここから「躁」と線引きすることは難しいです。

本人も周囲も「なんだか元気だけど、これが本来の自分(家族)だよね」「やっと本調子になってきた」などと捉えがちです。

躁状態への移行に気づくためにどんな工夫が考えられるでしょうか?

躁状態への移行に気づくコツ①支援者の力を借りる

ベテランの優秀な双極人であれば、一人で気分の変化についてチェックし、適切な判断をすることができるかもしれません。

まだ診断から間もない人や、自分なりに記録・対処しているのに気分の波に翻弄されている人は、家族や親しい友人、通所先の職員など、他者に積極的に支援を求めましょう。

同居する家族がいて、本人が双極性障害であることを分かってはいるものの、どのようにサポートするべきか具体的には分かっていないケースも多いです。

「気分の変化の予兆に気づくことがとても大事な病気。病状コントロールすることによって安定した自分でいたいし、あなたと良い関係を保ちたいので、協力してほしい」

とお願いしてみましょう。

躁状態への移行に気づくコツ②テンションマッチングゲーム

先ほど書いた支援者と一緒に行う、ゲーム感覚の気分確認方法です。

気分を数値化して記録することはすでに実行されている方が多いと思います。

一方で、その数値が客観性のあるものかどうかはご自身でも自信の無い方がおられると思います。

「-10~+10」の数字が書かれたカードを2セット作ります。

これは、ご自身が確認しやすい数字で作ってもらってOKです。

「今日の気分はどれくらいか?」

お互いに1枚カードを選んで出します。

数字が同じか近ければ、自身と支援者の認識が合っているということです。

数字が離れている場合は、少し話し合いをして、どういう観点からこの数字を選んだか確認してみます。本人の方の現状の捉え方が甘い・厳しい場合もあれば、支援者側が気づいていない本人の要素があるかもしれません。

このゲームを繰り返す中で、次第に、どの状態においても両者の出す数字が近くなることが期待でき、躁・軽躁状態への移行に早期に気づく可能性が高まります。

躁状態への移行に気づくコツ③数値化しやすい活動を指標にする

3つ目のコツは、気分レベルはどうしても認識しづらい方におすすめの方法です。

日々の活動記録がつけられていることが前提になります。

気分レベルより具体的に数値化できる活動をいくつかピックアップして指標とします。

・睡眠時間
・1日のうち外で過ごした時間
・日常活動以外の特別な用事・イベントの数
・1日に使った金額
・1日に会った人の数
・スマホを触っていた時間
・読んだ本の数
・コーヒーの杯数
・たばこの本数
・音楽を聴くときの音量
・行動範囲(km圏内など)

記録が定着していない人は、まずは1つでもいいので、上記の中から選んでコツコツと記録していってみましょう。

どの指標があなたにぴったりかはやってみないと分かりませんから、可能ならいくつか記録し、最も躁・軽躁状態への移行に連動する指標を見つけていきましょう

ほかの思いつく指標があればもちろん代替してもらってOKですが、「客観的な数値化」のできる指標を用いてください。

躁状態への移行に気づくコツ④ひとつひとつのエピソードを経験知とする

すでに気分の波を繰り返しているのに、全く自分の躁転の傾向に気づけていない人は、双極人としてまだまだですので、一歩ずつ歩を進めていきましょう。

ひとつの躁・軽躁状態が落ち着いた後、1人でもいいですが、できたら支援者や治療者と一緒にどんなことがその予兆だったかを振り返り、意見をすり合わせましょう。

意外と周囲の方が気づいているサインはあるものです。ヒントを得られたら次に活かすため、記録しましょう。

「今って通常気分?ちょっと躁が入ってきてるかな?」と迷うときにその記録を確認すると有意義です。

躁状態への移行に気づくコツ⑤躁・軽躁状態のデメリットを認識する

序盤で書いた通り、多くの人が(とくに発症して間もないころ)、躁・軽躁状態への移行を期待してしまう心理があります。

「きっと今回は大丈夫だよ」

「本来の元気を取り戻してるだけだよ」

「今回は軽い躁状態でキープできる気がするなぁ」

悪魔のささやきが頭の中に浮かんできます。

こんな時には、躁・軽躁状態のデメリットを認識しておくことが役立ちます。

ちなみに、躁・軽躁状態で「やらかして」しまいがちなことは人によって異なります

「やらかして」しまったことを蒸し返すのはつらいことですが、繰り返さないことが最優先課題ですから、戒めの記録をつけておき、悪魔の誘惑に負けそうな時はその記録を確認するようにしましょう。

あなただけのチェック項目・数値設定を

どれくらいの思考の変化や活動量の変化があれば「躁・軽躁状態」の危険ゾーンなのかは個人差があるので、

個別にオリジナルのチェックポイントや、この数値を超えたら危険だろう数値を設定し、いざその数値に達したら支援者や治療者と共有すると決めておきましょう。

最後に、ここまで書いてきたことは、通常気分モードの時期に決めておくことが大事です。

以上、「躁状態を防ぎたい!躁状態への移行に気づく5つのコツとは??」について解説してみました(‘◇’)ゞ

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