双極症(双極性障害)100の質問

双極性障害「山高ければ谷深し」躁状態で上がるほど、うつ状態はひどくなる?

精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極性障害についての100の質問」企画、第36回目です。

今回のご質問は、

「双極性障害、躁状態で上がった分だけうつ状態はひどくなる?」

です(・∀・)

以下、質問者さんからのメッセージです。

主治医やカウンセラーからよく「双極性障害は躁状態の時に上がったらその分だけ、うつ状態の時にドーンと落ちるから気を付けて」と言われますが本当でしょうか?躁状態と鬱状態の関連性なども知りたいです。

これは双極性障害の患者さんであれば、一度は言われたことのあるフレーズではないでしょうか?

「山高ければ谷深し」

などとも表現しますね。
(元々は株式相場で使われた言葉のようです)

この「双極性障害100の質問」でも繰り返し、軽躁・躁状態を惹き起こさない心得、早期に対処して山を高くしない必要性を伝えてきていますが、その理由として、

①軽躁病・躁病エピソードでの「経済的」「対人的」「社会的」な損失の大きさ

②軽躁病・躁病エピソードに引き続くうつ病エピソードへの懸念

の2つがあります。

①は過去の軽躁・躁状態を振り返ってもらえれば、容易に理解できることと思います。

②については、質問者さんのおっしゃる通り、気分の上がり具合が激しいほど、その後に来るうつ病エピソードの症状も重くなると言われているためです。

気分変動のパターンは人それぞれだが

ごく一部に、躁病エピソードのみを繰り返すタイプもあり、その場合はいくら躁状態が激しくても「谷深し」とはなりません
(時間を経て、うつ病エピソードが出現するケースも多いですが)

また、躁状態での症状は派手なのに、その後のうつ病エピソードはそこまで重度でないタイプや、軽躁病・躁病エピソードとうつ病エピソードが交互とならず、直前に軽躁病・躁病エピソードが存在しないのにうつ病エピソードが出現するような、うつ病エピソードの頻度が多いタイプもあり、個人差が大きいです。

しかし、激しい躁病エピソードから直接うつ病エピソードに転じたり、通常気分を挟んでうつ病エピソードに突入するタイプが多数ですから、特に治療が始まったばかりの方は、ご自身も「山高ければ谷深しタイプ」と認識して対処することが大事です。

なぜ「谷深し」になるのか?

明確に根拠の示されている文献は見つけられませんでしたが、以前より「気分エピソードは直近の気分エピソードを反映する」と言われています。

カラダへの影響

軽躁・躁状態で、短時間睡眠で活動過多になると、元々その状態でも平気な強靭な肉体の持ち主だったわけではないので、いずれはエネルギーが枯渇し、体は疲弊しダウンしてしまいます。

健康な人でも、ある日の朝5時から深夜2時まで動き回って活動をすれば、その日のうちか遅くとも翌日には相当な疲労を感じるでしょう。

躁状態でスーパーマンの気分にはなれても、肉体はそのままですから、無理をすれば後に響くのは当然のことです。

また、メンタル面へのダメージが大きくなることも容易に想像できることです。

ココロへの影響

軽躁・躁状態が激しければ激しいほど、前述した、「経済的」「対人的」「社会的」損失は大きくなり、それらに打ちのめされます。

多額の借金を抱えることや、大事な人の信頼を失ってしまうこと、会社での立場をなくしてしまうこと、そんな負の出来事が襲いかかれば、ただでさえ落ち込み、後悔し、今後について不安になるものです。

気分が通常モードでもとてもつらいことなのに、うつ病エピソード中にこれらのことに直面しないといけないとしたら、どうでしょうか?

うつ症状も手伝って、現実的・建設的な対処を考えることは難しく、現実以上に悲観的になり、場合によっては死が頭をよぎることもあるでしょう。

「山高ければ谷深し」となるのは、カラダとココロの両面から当然のことなんですね。

自分自身のパターンを知ることの価値

今回の質問者さんのように、

「双極性障害では一般的にこうなのかな?」

という事柄を知ることは病気の全体像をつかむ上で大切なことですが、一方で、「あなた自身」もしくはあなたが支援者であれば、その「本人」どのような気分変動のパターンを持つのかを知ることがより有用となります。

「山高ければ谷深し」が本当なのか、ご自身の体験を振り返って検証してみてください。

それで「山高ければ谷深し」と「山低ければ谷浅し」を実感できれば、今後、山を高くしないことにより真剣に取り組んでいけると思います。

ライフチャートを作ろう

すでに、主治医や支援者に勧められて「ライフチャート」を作ったことのある方もおられるかもしれません。

ライフチャートは、紙の上に、短めの縦軸と長めの横軸を引き、下記の参考画像のように自身の気分変動の経過を簡単な説明とともに書きこんでいくものです。下に日本うつ病学会のサイトで使われているライフチャートを示します。

・時間=T
・躁状態=M
・軽躁状態=m or H
・通常気分=E
・軽度うつ状態=d
・重度のうつ状態=D

日本うつ病学会のページに「ライフチャート」の書き方、見本が載っていますので、ご自身のライフチャートを作る際の参考にされてください。

参考:ライフチャートについて

まとめ

「山高ければ谷深し」とは言うものの、本当にそうなのかな?

という質問は、「単なる素朴な疑問」にも見え、「そうでもないんじゃないの?」「私は違う気がする」という気持ちが潜んでいるようにも見えます。

後者であるなら、主治医や支援者の言うことを疑って、気分の波のコントロールの手を緩める前に、自身の症状や経過を入念に考察することが大事です。

ライフチャート、ぜひ書いてみてくださいね(^_-)-☆

以上、「双極性障害、山高ければ谷深し。躁状態で上がるほど、うつ状態はひどくなる?」について解説してみました(‘◇’)ゞ

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