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双極症、精神疾患のある異性とのお付き合いは控えるべき?病気への影響は?

2019/05/30
双極症(双極性障害)100の質問
精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極症(双極性障害)についての100の質問」企画、第40回目です。

今回のご質問は、

「双極症、精神疾患のある異性とのお付き合いは控えるべき?病気への影響は?」

です(・∀・)

以下、質問者さんからのメッセージです。

自分は双極症と診断されています、境界性パーソナリティ障害の女性と付き合っておりましたが、主治医に「付き合っていると死にますよ」とまで言われ、何とか別れを一方的にでも切り出し別れましたが、非常に辛いです、正しい事であるのは分かっていますが、双極症の症状と彼女への依存や、自らの自身の無さから来る不安感は克服する事は出来るのでしょうか?

精神科の患者さんは、入院の環境やデイケア、作業所、もしくは当事者会などで、同じく精神科の患者さんと出会うことがしばしばあります。
(比較的軽症で通院レベルに留まる方は知り合う可能性は低め)

その出会いが吉と出るか凶と出るかはケースによりますが、吉と出た場合には、出会った人と友人になったり、それが高じてお付き合いに発展したり、さらには結婚する人もいます。

これを読んでいるあなたも、今まで患者さん同士の交流で様々な経験をされているかもしれません。

今回の質問には絶対的な正解はありませんので、個人的な意見を書いてみます。

支援者には安定した人が求められる

まず第一に、双極症と境界性パーソナリティ障害(以下BPDと記載)、どちらも、安定した支援者が必要な病気です。

恋人というのは家族に匹敵するか、それ以上にカギとなる支援者になります。

あなたがその支援者になり得るのか、冷静に判断する必要があります
(逆も然りですが、ここでは質問者さんに焦点を当てます)

おそらく、彼女さんの問題を解決してあげたい、力になってあげたいと思われていたのでしょう。

しかし、主治医に手厳しいことを言われていることから、質問者さんの病状はコントロールがうまくいっていなかったか、もしくは彼女さんの病状が非常に激しかったのでしょう。

不安定なBPD患者さんと近しい間柄になって、その症状に影響を受けながらも自身が精神的に安定した状態にいられる人は少数と考えるべきです。

精神疾患が無くても、BPD患者さんに振り回されて精神的に参る人も多いのが現実です。

また、ご存知の通り、BPD患者さんは見捨てられることに敏感です。見捨てられ不安から自殺企図に至ることもあります。BPD患者さんが気持ちを試すような行動に出ることにも適切な対処ができないといけません。

よって、お付き合いをするなら、かなりの覚悟を持って向き合う必要があります。
(おそらく、今回別れを告げたことで相手の方は調子を崩されたでしょう)

もし、その人を本当に支えたい、そばにいたいと思うのなら、まずはあなたが自身の病状コントロールに専念し、多少の刺激や環境変化では揺らがない安定を得ることが大事です。

精神疾患のある人との付き合いはNG?

主治医と同様に厳しい話をしましたが、一方で、精神疾患を持つ人同士で付き合ったり、結婚されている人がそれなりの数いることも事実です。

・お互いに病気持ちだからこそ分かることがある

・病気に偏見を持たれないなど、相手に対して安心感を持てる

・日常で気を付けることを声掛けし合える

など、メリットも多いです。

よって、精神疾患を持つ人同士で付き合うことが絶対的にNGとは思いません。

序盤に書いたように、結婚まで至る人もいるわけですから。

精神科の患者さん同士で付き合う際の条件

私の考える、患者さん同士でお付き合いしてもいいんじゃないかなという条件は、以下の通りです。

①お互い、発症してから一度はある程度の期間の安定を得られている

⇒再発を繰り返すとしても、以前得られた安定をまた取り戻せる可能性が高い

②お互い、治療に前向きに取り組んでいる

⇒病気の受容がある程度できており、通院や服薬、生活への配慮ができている

③お互い、お付き合いしている人がいることを主治医や支援者に伝えている

⇒何かあった時のためにキーパーソンとなる人には伝えている方がよい

④お互い、相手に対して病的な依存をしていない

⇒健康的でない関係は元々の病状にも影響するため

⑤お互い、金銭面で負担をかけ過ぎない

⇒管理の苦手な人が多い。デートでの使用金額やプレゼントのルールを決める

⑥お互い、病状に配慮したお付き合いのルールを決めている

⇒連絡を取り合う時間、対応できる範囲などの設定

色々書きましたが、もちろん病状にもよるので、個別に注意した方がよい点はあなたのことをよく知っている主治医に相談しましょう。

まとめ

恋愛は場合によっては病状の悪化につながるリスクはあるものの、ココロに潤いを与えてくれ、普段の自分より少し頑張れるパワーをもらえ、困難を乗り越える時の支えにもなってくれるものです。

また、結果的にうまくいかなかった恋愛も、人として成長するにおいての多くの学びがあるものです。

質問者さんの今の不安や依存する気持ちは通常気分モードになることと、時間が経つことで少しずつ解消されるものだと思います。

病状が安定したら、今回のことを振り返り、ぜひ次の恋愛に活かしてほしいと思います。

以上、「双極症、精神疾患のある異性とのお付き合いは控えるべき?病気への影響は?」について解説してみました(‘◇’)ゞ

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