「双極症(双極性障害)についての100の質問」企画、第73回目です。
今回のテーマは、
「双極症、就労移行支援を利用中。うつ状態でも無理して休めない人へのヒント」
です(・∀・)
以下、質問者さんからのメッセージです。
「双極症です。就労移行支援に通っています。うつ状態の時でも無理していってしまい、調子のいいフリをしてしまいます。帰ってからは疲れ果ててしまい身の回りのこともできない状態です。それでも休めずにいます。就職のことを考えると、『休んでいられない!』との思いが強いです。やっぱり休むべきでしょうか?どの程度で休むかもわかりません」
質問者さんはいずれの仕事のことを考えて、しんどい状態でもかなり頑張っていらっしゃるようです。
どれくらいの期間通所されていて、メッセージにあるような状態がどれくらい持続しているのかは分かりませんが、このままの状態が続けば、有無を言わさず休まざるを得ない時が来てしまいそうで心配です。
読者の方もそう感じられるのではないでしょうか?
また、読者の方でも質問者さんと同じように、
・しんどくても大丈夫なフリをしてしまう
・しんどくても周囲にヘルプを出せない
・どれくらいの不調で休む判断をすればいいか分からない
・先の仕事を考えて焦ってしまい、落ち着いて判断ができない
などの思考や行動のパターンがある人は多いのではないでしょうか?
Contents
うつ状態に陥ると思考能力が低下する
かく言う私も、
・つらいと言うと「負け」な気がする
・周囲の評価が下がることを恐れる
・いったん休むと、もう行けなくなるのではと不安に駆られる
・まだ頑張れるのか、やばい状態なのか、考えれば考えるほど分からなくなる
などの理由で、うまく周囲にヘルプしたり、休みを取れず、結局、長期間にわたり休職してしまった過去があります。
うつ状態になると、思考能力が落ち、いつもなら冷静に判断できることもできなくなるものです。
よって、質問者さんが、今のような思考・行動のパターンに陥っていることも「ふつうのこと」と言えばふつうのことです。
また、双極症を発症する前にも、同じ状況があった人も多いと思います。
・ストレスを適時解消する
・必要な時に他者を頼る
・頑張るために、休むときはしっかり休む
・生活リズムを乱さない
この辺が不十分で、何度もしんどい思いをしながら何とか踏ん張っていたことを思い返されるのではないでしょうか?
うつ状態でどうしたらよいか判断できなくなっている時
質問者さんが今すぐすべきことは下記の通りです。
・就労移行支援事業所のスタッフに現状をありのまま伝える
・家族やその他の支援者がいれば、現状についての客観的な意見を求める
・早期に受診し、主治医に現状を伝える
事業所のスタッフに、現状の仕事量、就労時間では心身ともに支障が出ていることが伝われば、
・いったん休止することも視野に入れた仕事量や時間の見直し
・主治医との連携
などを図ってもらえると思います。
就労移行支援は、いずれの仕事につながる生活リズムの安定や体力の向上、作業能力の向上のための制度ですが、
「困った時の対処法」を学ぶ場
でもあります。
せっかくの制度なので使い倒す
就労移行支援の利用時は、一般就労時に比べて、
・本人の調子への職場からの配慮
・本人と周囲の人の関係への配慮
・何かあったときの相談しやすさ
・急な休みや勤務日数の調整などの融通の利きやすさ
・主治医との連携
などの点で優位です。
だからこそ「就労移行支援」なんですけどね。
せっかく就労移行支援を使うなら、その利点を活用しないのはもったいないです。
「急がば回れ」はホントのこと
焦る気持ちは分かりますが、今の段階で、色んな体験をして、一般就労に備えることが得策です。
今まで多くの方に「急がば回れ」と伝えてきました。
そして、その言葉が真実であったケースをたくさん見てきました。
私自身、自分を自分で追い込んで、空回りして、状態が悪化した経緯があり、振り返ってみると、
「あの時、スローペースでもいいから、その時できることを着実に踏み固めていった方が早くラクになれたのでは?」
と思うことが度々ありました。
「もう無理」な状態に気づく方法
質問者さんは「休むべき」タイミングが分からないとのこと。
「休む」ことには、段階があります。
・作業中、休憩時間前に少し休憩する、休憩を増やす
・ある一日、早めに切り上げて帰宅する
・ある一日仕事を休む
・いったん利用を中止する
質問者さんの場合は、かなりつらい状況に陥っているようなので、「いったん利用を中止する」ことになる可能性もあります。
まずは、一日の仕事の疲労が次の仕事の日の朝に持ち越しているなら、その時点で今の状態と仕事の時間や内容がフィットしていないと考えましょう。
・月〜金まで通所している場合は、月曜の疲れが火曜の朝に残っていると感じる場合
・月、水、金と通所している場合は、月曜の疲れが水曜の朝に残っていると感じる場合
上記が目安です。
加えて、自分1人で休むべきタイミングを判断しようとしないことも大事です。
家族、支援者、就労移行支援の職員など、みんなで見守り、あなたが無理の無いペースで歩めているのかを見ていきます。
まとめ
質問者さんは、通院時にもここに書かれているようなつらさを主治医に話せていないのでは、と心配になります。
日常で、近いところにいるのは家族だったり、就労移行支援の職員になるとは思いますが、
主治医にも頼ってほしいです。
そのための主治医です。
あなたが困難を乗り越え、次のステップを目指そうと行動し始めたことを主治医はとても喜んでいます。
出来る限りの応援をしたいと思っています。
主治医の側も、「大丈夫です」の言葉や、何とか作り出した笑顔の裏にある「つらさ」を推し量る努力はします。
今までのやり方を変えることができないと、ヘルプサインを出すのは難しいかもしれませんが、あなたからもどうかサインを出してください。
決してそれを「根性がない」「甘えている」などと思いません。
何かできる助言を、工夫を、考えます。
ひどく困難な状況から浮上して、さあステップアップしようというときは、あなた1人ではなく、みんなで一丸となって、ときにペースを落としながらでも、着実に進んでいくことが大事です。
私も陰ながら応援しています(^_-)-☆
以上、「双極症、就労移行支援を利用中。うつ状態でも無理して休めない人へのヒント」について解説してみました(‘◇’)ゞ