双極症(双極性障害)100の質問

双極症、躁状態で睡眠時間を確保すべきだが、じっとしていられない時のヒント。

精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極症(双極性障害)についての100の質問」企画、第81回目です。

今回のテーマは、

「双極症、躁状態で睡眠時間を確保すべきだが、じっとしていられない時のヒント。」

です(・∀・)

以下、質問者さんからのメッセージです。

躁状態になると睡眠時間が短くなってしまいます。眠れなくても横になっていたほうがいいと言われますが、ただ横になっているとソワソワ、イライラしてきてしまいます。短時間睡眠でも起きて活動してはだめでしょうか?

躁状態に移行すると活動性が高まり、あれやこれやと手を出したくなってきますが、それが高じると、ほとんどじっとしていられない状態になることがあります。

多動、過活動などと表現される状態です。

質問者さんのように、これ以上の悪化を防ぐために、睡眠時間を多くとることや、活動性を抑えることが重要と分かっていながら、それが苦痛で耐えがたく感じることがあります。

躁状態の対処法

躁状態では、それ以上の悪化を防ぐ、ひいてはその後のうつ状態を重くしないために、しかるべき対処をする必要があります。

躁状態の予兆を感じたらするべきことをまとめた過去記事もご覧ください。

参考:躁状態では自己制御が困難。躁状態への移行をコントロールする10か条とは?

完全に躁状態に移行してしまった後も、上記の記事にあることが大事なのは変わりません。

ただ、自身での病状コントロールは、予兆を感じている段階、軽躁の段階よりも難しくなっていることが一般的です。

幸いなことに、躁状態のコントロールには薬物治療が効果的ですから、一時的に鎮静がかかるリスクはありますが、しっかり必要な薬を必要なだけ使うことが大事です。

質問者さんの場合、躁状態に至っても睡眠時間を十分確保しようとの意識はあるようで、その点は双極人として素晴らしいことと思いますが、そのコントロールは実際のところ、非常に難しいようです。

ここで、睡眠時間を確保することを投げ出すとどうなるかは、言わずもがなです。

すでに躁状態に配慮した処方にはなっていると思われますが、就寝前の薬と不眠時の頓服をさらに調整してもらいましょう。

どうしてもじっとしていられない時は

薬物調整がさらになされた後も、横になっていられないほどのソワソワやイライラを感じる時は、やむをえず起きて過ごすことになるでしょう。

この場合は、せめて室内でできる比較的静穏な活動を選びましょう。

下記の活動は、躁状態の夜間の過ごし方として、左に行くほど望ましく、右に行くほど避けてほしい活動となります。

眠る > 横になって過ごす > 座って過ごす > 歩き回る > 激しい筋トレやジョギングをする

横になって過ごすことが難しくても、せめて座って過ごす、という風にとらえてください。

スマホやPCの画面を見ることはできれば避けましょう。

電球色の光の元で読書する、刺激の少ない音楽を聞く、呼吸法をする、軽いストレッチをするなどの穏やかな活動とし、20~30分ほど活動したら同じ時間だけ横になって過ごしましょう。

「とにかく眠れなくても横になって過ごすこと」

私もそう助言しがちですが、ソワソワ・イライラの強い時にはそれを守ることが苦痛なのも事実です。

ベストな対処はあるにせよ、その時点で本人に可能なレベルの対処法を示すことも大事だと思います。

治療薬の副作用の可能性もある

次に、夜間のソワソワ・イライラが治療薬によって起こされている可能性について説明します。

双極症の治療にリスペリドンやオランザピンなどの抗精神病薬が使用されることがありますが、その中でも特に、「アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)」という薬は、「アカシジア」という副作用が起こりやすいです。

アカシジアは錐体外路症状により「静座不能」の状態となるものです。

足がむずむずする、足踏みをする、じっと座っていられなくなる、頻繁に姿勢を変えるなどの症状が見られます。

アカシジアは日中にも見られますが、このアカシジアのために不眠が出現することもあります。

よって、躁状態で眠れずじっとしていられない場合、躁症状としてじっとしていられないのか、薬の副作用なのかは見極めが難しいケースもありますが、考慮すべき点です。

アカシジアが疑われる場合は、薬物調整をすることで夜間に睡眠をとりやすくなります。

レストレスレッグス症候群の可能性

「むずむず脚症候群」という病名を聞いたことはるでしょうか?

正式には「レストレスレッグス症候群」(restless legs syndrome:RLS)と言いますが、主に太ももから足首にかけて、何とも言えない不快な感覚、むずむずするような、虫が這うような感覚を生じる病気です。

就寝しようと横になった際、長くじっと座っている状況で、足の不快感が起き、足を動かすと症状が和らぎます。前述のアカシジアと同様の症状です。

RLSは、実は人口の2%~4%に見られるとされるポピュラーな病気です。

特発性のものと、二次性に起こるものがあり、鉄欠乏性貧血で起こることはよく知られています。

鉄欠乏性貧血が影響しますから、女性では生理中に症状が悪化することがあります。

RLSの治療が必要な人はその一部ではありますが、双極症でRLSを悪化させる薬が治療に使われますので、考慮が必要です。

抗うつ剤、抗精神病薬、リチウムはその原因になりえます。

まとめ

躁状態で夜間にじっと横になっていることは非常に苦痛です。

一方、この時期にどれだけ睡眠時間が確保できるかが、その後の経過を決めると言っても過言ではありません。

アカシジアやRLSのようなことも考慮しつつ、また、その時にできるレベルの対処を意識しつつ、回復へ向かっていっていただきたいと思います。

以上、「双極症、躁状態で睡眠時間を確保すべきだが、じっとしていられない時のヒント。」について解説してみました(‘◇’)ゞ

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