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双極性障害の患者さんに医師がやって欲しい3つのこと〜日常編〜

2019/01/13
双極症(双極性障害)100の質問
精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

前回に引き続き、「双極性障害についての100の質問」企画です。

第2回目の質問は

精神科医が患者さんにこれだけはやって欲しいと思うことは何??

です(*^^*)

長くなるので、日常編と診療場面編に分けて記事にします。

※番号順に記事にするのではなく、目についたものから回答させていただきます。

①規則正しい生活をすること

まずは、規則正しい生活をすることです。

人によって個人差はありますが、例えば、朝7時に起きて、日が変わるまでに寝ること

イベントや身体の調子によってばらつきはあっても、できるだけ一定のリズムで生活することです。

なーんだ、そんなこと。

と思われるかもしれませんが、侮るなかれ(; ・`д・´)

これは基本中の基本であり、この心掛けが無ければ、

上がりすぎ・下がりすぎの気分を通常気分に戻していくことも、通常気分から上がりすぎ・下がりすぎの気分に再度ならないようにすることも難しくなります。

特に仕事をされたり、通所されている方などは、連休や年末年始などのイベント時にリズムを崩しがちです。

睡眠の注意点

たった一晩の徹夜で躁転(うつ状態から躁状態に転じること)することもありますので、気を付けましょう。

睡眠時間は気分によって変動する方が多いです。

躁状態では短時間睡眠になりがちで、それがより躁状態を悪化させますから、少なくとも7時間は眠るように意識しましょう。

イベント時のストレスの注意点

季節のイベントなどの時にはいつもは会わない人と会ったり、外で過ごす時間が長くなったり、睡眠時間が短くなったり、また、自身の状態があまりよくないときは周囲のウキウキムードと比較して落ち込むこともあり、ストレスから不調をきたしやすいので気を付けましょう。

イベントを楽しめる人は大いに楽しんだらいいと思いますが、毎回、イベント後に寝込むような方は、イベント時も平常モードをあまり崩さない過ごし方がおすすめです。

私自身は、お盆も年末年始もいつもの時間に起き、いつもの時間に外に出て、少し活動が多い・普段会わない人と少し会うくらいで、いつもの時間に就寝します。

当直業務で夜中に仕事をする日もありますが、睡眠不足なら翌日にしっかり眠っています。

連休もあまりとらず、平日に中休みを作っての勤務スタイルにしています。

仕事をしている方で土曜日も就業可能なら、月・火・木・金・土のようなスタイルもおすすめです。

旅行には行きにくいですが、お店や観光地が空いている平日に休めるメリットもあります(*^^*)

②お薬を決められた通りに内服すること

こちらも大変重要な項目であり、尚且つ、なかなか完璧にはできない項目です。

薬物治療は双極性障害の治療の柱の一つです。

お薬を使うことによって、気分を上がり過ぎず、下がり過ぎずのいい塩梅に調整する必要があります。

上下に大きく振れることを繰り返すと、社会的な不利益を被るリスク(仕事、人間関係、経済面など)、自尊心の低下をきたすリスク、気分の変動サイクルが早まるリスク、通常気分の時期にも認知機能障害を残すリスクが高まります。

内服回数の少ない人は夕方や就寝前の1回、多い人は朝・昼・夕・就寝前と1日4回内服されているでしょう。

服薬を守ることの難しさは精神疾患に限りません。

例えば、何らかの感染症で1日3回飲むタイプの抗菌薬を5日分処方されたとします。

これをきちんと飲める方ももちろんいますが、

「うっかりお昼の内服を忘れた」

「外食して夕食後の薬を飲んでいなかったと寝る前に気づいた」

なんてこともままあるでしょう。

かくいう私も、意図して飲まないわけでなく、本当にうっかり忘れてしまうことがありました(;’∀’)

医療者の私ですらこうですから、薬は飲み忘れが発生するかもしれないことを前提に対策しましょう。

壁かけカレンダータイプのお薬ポケットを利用する、お薬が多い場合はタイミングごとに一包化してもらう、家族に声掛けをお願いする、飲んだらチェックする、記録アプリを利用するなどしましょう。

③気分の評価、自己管理の意識を持つこと

双極性障害は精神疾患の中でも特に「自己管理」が重視される病気です。

逆に言うと、自己管理がしっかりできれば、病状のコントロールも比較的うまくいくでしょう。

まずは手帳でも、自作のグラフでも、気分の管理アプリでも、やりやすい方法で、気分を数値化して記録してみましょう。

起きたとき、寝る前など、タイミングを決めて記録します。

−5〜+5の11段階で判定します。

−5は重度のうつ状態+5は重度の躁状態0はどちらでもないとします。

始めは数値化するのが難しいと思いますが、慣れてくると、「今日は+2くらい」などと判断できてきます。

グラフにすると、自身の気分のサイクルが視覚的に把握できるようになります。

いつも〇か月くらいで落ちてくるなぁ。
〇月くらいに上がってることが多いな。

という風にです。

さらに大事なのは、上がりすぎ・下がりすぎの手前でその傾向に気づき、対策を打てることです。

特に躁状態は大きく振れると入院を回避できない状態になりますから、しばらく−1〜+1で行き来していた人が+2、+3と記録することが増えたら注意です。

ここで、予定より早めに受診する、家族・支援者に相談することができれば最悪の事態を防げます。

①の「生活リズムを整える」と重複しますが、軽度の上下の振れに気づくことで、より生活リズムを意識して再発しないように行動できるので、体調管理、気分管理を習慣化していきましょう。

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