「双極性障害についての100の質問」企画、第35回目です。
今回のご質問は、
「双極性障害にかかり、恋愛に対する自信を喪失した。病的な自分を好きになってくれる人はいる?」
です(・∀・)
以下、質問者さんからのメッセージです。
最初は頚椎症の首の痛みから始まり、うつ病と診断され、最終的に双極性障害と診断されました。どうも精神的な病気になってから、誰かを好きになって、仲良くなれても、ちょっと一緒に出掛けても、すぐ疲れるし、もっと攻めていく自信が全くありません。調子を崩すと、死のうかなとか思う人をパートナーとして好きになってくれる人っているのでしょうか?
うつ病と診断された方のうち10人に1〜2人が数年〜10数年を経て双極性障害と診断されると言われており、質問者さんも同様のパターンのようですね。
質問者さんは現在、恋愛面で悩んでおられますが、メッセージにある一連の不調が起こる前は、恋愛に対して前向きで、ご自身から相手に対して色々と行動していくタイプで、相手に選んでもらえる自信もお持ちだったようです。
双極性障害では、質問者さんのように身体的な不調を伴うこともありますし、気分の変動から一定したお付き合いをすることが困難に感じる人も多いでしょう。
今の自分に適した恋愛をする、もしくはしない
まず、病気になってしまったことは、これはもうどうしようもないことです。
取り消しにできるわけでもないので、病気について学びながら、少しずつ受容していきましょう。
ある程度受容ができたら、病気になる前は健常な人と同様にできていた恋愛を双極仕様にチェンジすることがひとつの案です。
(もちろん仕事や趣味も)
・主に日中に会うようにする
・一回に会うのは〇時間までにする
・夜のイベントは避ける
・泊まりの旅行は避ける
・アルコールは避ける
疲労やストレスを溜めないよう、生活リズムが乱れないように気を付けましょう。
(個人差があるので、自分が安定して過ごせるルールならもちろんOK)
恋愛の刺激やストレスが気分エピソードの再発のきっかけになることも考えられますから、人によっては、うつ状態or躁状態に移行する兆候のあるときは出会いの場に出かけたり、新しい人と出会うことは避ける方がいいでしょう。
参考:双極性障害を抱えながらの「恋愛」や「結婚」に悩んでいる方への7つのヒント
当面は恋愛をしない
という選択もひとつですね。
とくに双極性障害と診断されて間もない方は病状のコントロールにも不慣れでしょうから、しばらく恋愛はお休みモードにして、生活を安定させることを優先しましょう。
余裕が出てきたらおのずとそういったことに関心が出てくることでしょう。
病気に飲み込まれた発想
メッセージの後半にあるような、
「調子を崩すと、死のうかなとか思う人」
を、好きになってくれる人はまずいないでしょう。
ひどいことを言うと思われるかもしれませんが、逆の立場になって考えてみてください。
恋愛対象を想像するとき、
・性格の要素(穏やか、明るいなど)
・外見が好みか
・気が合うかどうか
・趣味が似ている
・尊敬できる仕事をしている
・同職種である
など、様々な条件を考えると思いますが、「調子を崩すと、死のうかなとか思う人」をパートナーを探す、決めるときの条件にはしませんよね。
このような表現をされていることから、質問者さんは双極性障害という病気に飲み込まれてしまっているのかもしれません。
あなたは双極性障害という病気を持つ「あなた」であって、単なる病者ではありません。
①あなた ≠ 双極性障害患者
②あなた=元々の気質や能力+成長の中で獲得した性格や能力+あなただけの様々な知識や経験+・・・+双極性障害
とくにうつ病エピソード中だと、①のように考えてしまいがちですが、本当は②であることを覚えていてください。
「病気」の要素が決定打にはならない
精神的な病気を持つこと自体がパートナーとして「選ばれる」「選ばれない」に絶対的な影響を与えるかというと、そうでもないことをみなさんはすでに知っていると思います。
(慢性的or重大な身体疾患や、外見に関わる病気や障害も同様)
あなたが人を好きになるときも、きっと同じではないでしょうか?
その人の色々な要素を見て、その人に魅かれるのではないでしょうか?
その魅力が相手にとって大きいものであれば、「病気を持つこと」の要素が加わっても気持ちはそうは変わらないと思います。
もちろん、その後の病状が相手が許容できない範囲に上下に振れるとしたら、関係は危ういかもしれません。
関係が続くか否かは、ご自身の病気に対する向き合い方・本気度に左右されると言えます。
また、精神疾患があると知って離れていく人は、その問題が精神疾患以外の何かであっても離れていく人だと思います。
病状のコントロールが何より大事
調子が悪くなると死のうと思うことについては、十分に気分変動をコントロールすることに重きを置くことが大事です。
パートナーとの関係を結ぶこと、関係を続けること、いずれにおいても病状が安定していることはプラスになります。
双極性障害があること自体は恋愛の妨げにはならずとも、そのコントロールの不良さは妨げになることが考えられます。
まとめ
質問者さんは体力も回復されていないようですし、悲観的な思考の存在から、うつ病エピソード中か、もしくは通常気分でも低めのレベルにあるかもしれません。
まずはしっかり治療に取り組み、通常気分に回復してから、もう一度、恋愛のことを考えてみましょう。
また、体力が回復し切らず、疲れやすいうちは、相手にそう伝えて、ゆっくりペースでお付き合いすることもアリです。
急ぐことはありませんし、華やかさには欠けたとしても、穏やかに関係を育んでいくことも素敵なことだと思います。
以上、「双極性障害で恋愛への自信を喪失。病的な自分を好きになってくれる人はいる?」について解説してみました(‘◇’)ゞ