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双極症、睡眠覚醒リズム表の記録を主治医が重視してくれないならどうする?

2019/06/04
双極症(双極性障害)100の質問
精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極症(双極性障害)についての100の質問」企画、第45回目です。

今回のご質問は、

「双極症、睡眠覚醒リズム表の記録を主治医が重視してくれないならどうする?」

です(・∀・)

以下、質問者さんからのメッセージです。

「双極症Ⅰ型、ラピッドサイクラー、40代後半です。現在、睡眠時間と自分で感じる気分の変化を、スマホのアプリで記録しています。記録が継続ができたのはこの半年が初めてで、先週の通院で主治医に睡眠の部分だけ見せました。主治医は元々、そういったものを見るのを嫌います。その時は見てくれましたが、やや素っ気ない対応でした。

『パッて目が覚めるでしょ?(パッと目が覚めても寝てなさい)』『つらくても、同じ時間に起きないと、会社行ってたら、行けないよね?(常に同じ時間に起きなさい)』と言われました。それが出来ないから15年苦しんでいます。記録は手書きにしろ、デジタルにしろ見ないです。セカンドオピニオンも視野に入れてます。転院1回、今の主治医で13年です。信頼はしてますし、1番つらい部分を精神科医として見てきてくれました。でも安定したいです」

双極人には睡眠を含めた生活の記録が必須です。

「必須」なんですが、「記録しなきゃな〜」と思いつつもなかなか習慣化できていない人が多いのも事実です。

質問者さんも長く患っておられ、ここ半年で初めて記録ができたと仰っています。

記録が習慣化するまでが大変

双極症の診断を受け、記録をするよう勧められ、すんなり記録を開始して、継続できている人はおられますか?

もしいらっしゃったなら、それはと〜ってもすごいことなんです!

人間は基本的には変わらない・変われない生き物ですから、何か新しいことを取り入れる際は習慣化するまでが大変です。

逆に習慣化してしまえば、その行動は日常に組み込まれ、意識せずとも行動に移せるものです。

みなさんも、歯磨きや着替えなど、「今日はやるぞ!」「忘れないようにしないと!」と気合いを入れずとも行えているはずです。
(うつ病エピソード時はしんどくて取りかかれないかもしれませんが)

よって、本人の努力はもちろん、主治医や家族、支援者もそれが習慣化するまではサポートする必要があります。

過去記事にもありますが、記録ができて気分変動が把握可能になれば病状が安定しますから、本人だけでなく支援者にとっても有益なことです。

参考:双極症、医師が患者さんの家族や身近にいる人に「お願いしたい3つのこと」。

主治医の対応はどうあるべきか

主治医は患者さんが記録を継続することの大変さを認識し、本人が習慣化できるまで、繰り返し記録の大切さを声かけし、できたときにはそれを一緒に喜び、支持し、記録の方法などに改善点があればフィードバックすることが大事です。

記録をつけるのは第一に患者さん自身のためですが、主治医が見てくれない、重視してくれないのなら、記録を軽視し、記録に取り組む意欲も低下すると思います。

質問者さんと主治医には長い年月の付き合いがあり、一定の信頼を置かれているようですが、記録を軽視する対応については残念な気持ちになります。

質問者さんはラピッドサイクラーであることも影響しているのだと思いますが、現在状態が安定していないようなので、なおさら記録の重要性は高いでしょう。

その記録の中に工夫や改善のヒントが隠れているかもしれませんから。

セカンドオピニオンについて

質問者さんはセカンドオピニオンを考えておられるようです。

よく、セカンドオピニオンを「転院」することと誤って認識している方がおられるので、どんな仕組みなのかを下に示します。

①今の治療法で良いのかなど、セカンドオピニオンの目的を明確にする

②主治医Aと相談し、セカンドオピニオン先を決める

③聞きたいことをまとめる

④主治医Aに紹介状、検査所見などをもらう

⑤別の病院の医師Bを受診し、セカンドオピニオンを聞く

⑥主治医Aと治療などについて再検討する

⑦主治医Aの元で治療を続けるor医師Bの方に転院する

参考:セカンドオピニオンについて

要するに、セカンドオピニオンは転院ありきではなく、主治医Aと治療を続けていくこと前提で、より良い治療が何かを判断するために別の医師Bの意見を求めることなんですね。

主治医を変えたいという気持ちが固まっている場合は、ハッキリ「転院」を申し出てください。

セカンドオピニオンも転院も遠慮しないで

質問者さんはせっかく記録したものを軽視されること、また、治療の経過がおもわしくないことからセカンドオピニオンを希望されています。

これは当然のことです。

セカンドオピニオンを聞くことで、より良い治療のヒントが得られれば、患者さんだけでなく、主治医にとっても幸いなことです。

また、セカンドオピニオンを申し出た時の主治医の対応により、今後も現在の主治医と治療を続けていくかの判断材料にもなると思います。

個人的には、セカンドオピニオンも転院も、患者さんがそうしたいと思えばやってみるといいと思います。

「納得できないまま」治療を受けるより、「納得した上で」治療に取り組む方が、病気の経過にも良く影響すると感じます。

ただ、数か月も経たないうちにコロコロと通院先を変えることはおすすめしません。

医師との相性はもちろん、薬物治療も、変更してから一定の時間が経たないと、それがご自身に合っているかどうかは判断できないものです。

A医師⇒B医師にうつって、やっぱりA医師のところに戻るような人もちょこちょこおられますので、出戻りパターンもあまり気にされず、希望があれば仰ってくださいね。

以上、「双極症、睡眠覚醒リズム表の記録を主治医が重視してくれないならどうする?」について解説してみました(‘◇’)ゞ

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