双極性障害100の質問

双極症「就労意欲がないが働くべき?」精神疾患と「仕事」と「お金」について。

お豆腐メンタルな精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自分の知識・経験・エネルギー・時間を最大限に活かすことで、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極症(双極性障害)についての100の質問」企画、第71回目です。

今回のテーマは、

「双極症、就労意欲がないが働くべき?精神疾患と”仕事”と”お金”について」

です(・∀・)

以下、質問者さんからのメッセージです。

双極症発症後12年目に入り、就労定着が困難になり、現在就労意欲が全くありません。収入は障害年金と親の資金援助で生活しています。親亡き後の生活も不安はありますが、最終手段は生活保護なども視野に入れていますが、働く意欲がないのに無理して就活する必要はありますか?

病気が長期化して、就労のタイミングを逃すと、なかなかチャレンジしようという気が起こらなくなることはよくあります。

何度もチャレンジしたけれど、気分症状や認知機能障害のため、もしくは病気と関係ない理由で、うまくいかず、自分に能力が無いと否定的にとらえている方もいるかもしれません。

質問者さんは下記のようにして、就労せずとも生活をしていく方法を考えているようです。

現在:障害年金と親からの資金援助

将来:苦しくなれば生活保護

話は少し逸れますが「無理してまで○○する必要がありますか?」という問いについては厳しい記事を書いていますので、調子の悪くない方はこちらも参照ください。

参考:双極症「社会との接点がない」のは問題?外出・対人交流の意義と対処のヒント。

障害年金、生活保護などの制度を利用すること

そもそも、障害年金も生活保護も、「働けない」「収入が得られない」などの特別な理由があってこそ利用できる制度です。

よって、就労可能であるのに障害年金をもらうこと、生活保護をもらうことはNGです。

障害年金も状態が改善すれば等級が下がったり、該当しなくなることがあります。
(もちろん、双極症は軽快と悪化を繰り返す病気ですから、いったん寛解を得られたからといってただちに障害レベルの評価が変わることはありません)

本来「等級が下がる」のは状態が改善していて就労の見込みも出てきて喜ばしいことなのに、日常業務の中では、等級が下がらないことを心配される方が多くて複雑な気持ちになることがしばしばあります。

※経済的なことも精神面に影響しますから、等級が維持されることを望む気持ちももちろんよく分かります。

質問者さんの状態が今後ずっと「就労不可」であることを前提とすれば、こういった制度を利用して生活していくことは現実としてありうることかと思います。

ただ、「今後ずっと就労不可」であることを想定するのはちょっと寂しく感じるのも事実です。

働く意欲について

「働く意欲がない」と書かれていますが、この意味が、うつ状態が持続していて症状として「意欲がない」のか、日常生活は問題なく過ごせる状態にあるけれど、働く「意欲がない」のかによっても答えは異なります。

「働く」とひとくちに言っても、質問者さんのように長く就労されていない方の場合、まずは図書館などへの外出練習、デイケアへの通所による体力作り・生活リズム調整などから始めます。

そして、就労支援や障害者雇用で、サポートのある中で、現状無理のないペースから取り組むことになると思います。

少なくとも、寛解の状態を保てているなら、年齢にもよりますが、チャレンジ精神を持っていてほしいとは正直思います。

働くことの意義

「働くこと」は単にお金を得るためだけの手段ではありません

充実感、達成感、貢献感、人とのつながりなど、様々な見えない価値を手に入れられる手段です。

双極人にとって大事な「生活リズム」も、週に数日でも仕事があると、

「ちょっとしんどいけど8時までに起きよう」

「明日は仕事だから早めに寝よう」

などと、生活リズムが乱れにくくなります。

日中に活動することで、その疲労が効いて、夜の睡眠の質が上がります。

働くことに価値を見いださない

ここで少し見方を変えます。

働くことの意義を前述しましたが、「働くことに価値をおかない生き方」もあります。

これは病気の有無と関係なしの、その人の価値観ですね。

趣味の仲間、気の合う友人、ボランティア活動などで、社会とつながりを持ち、そこに充実感や安心感、楽しみ、やりがい、貢献感を持つこともできますね。

動画やブログで自身が何かを楽しむ様子を人に伝えることで収入を得る、やりたいことのためにクラウドファンディングをする、メルカリでハンドメイド作品を売るなど、従来のイメージである「仕事」以外に収入を得られる手段も増えています。

クラウドファンディングとは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語

Wikipediaより

働くこと自体を手放すことも、一般的な「雇用される」形での仕事をしないことも選択肢のひとつです。

ベーシックインカムの導入

議論のある制度ですが、「ベーシックインカム」の制度が導入されたら、精神科界隈の悩みの一部は解消するだろうなと思います。

ベーシックインカムとは

年齢、性別、所得の有無などは関係無しに、すべての人に一定額の現金を所得の保障として支給する制度です。日本語では「最低所得保障」とも呼ばれ、世界各国で試験導入がされています。

おそらく月額10万円に満たない金額にはなるでしょうが、少し働けば、もしくは障害年金と合わせれば、最近ではモノを持ち過ぎず小さく生活することにシフトする人も多いですし、十分生活できると考えられます。

・仕事をしたい人は思いっきりする

・少しお金に余裕が欲しければ、無理のない範囲で働く

・小さな暮らしでいいので仕事をしたくない人はしない

こういった社会になる可能性もなくはないです。

実臨床でもツイッターでも「お金にまつわる悩み」を聞くことは多いです。

ベーシックインカムである程度の所得が保障されるなら、「早く働かないと」「今月も余裕がない」などのお金に関する焦りや不安は軽減されるでしょう。

「障害者年金」の響きから、生活は困窮していても申請をためらう人もいます。

そのような人たちも、とりあえず最低限の保障が得られることになります。

病状改善のための食生活や学びの場への参加にもお金がかかるので、そういったモノやコトに使えるお金が増えるのも病気に良い影響をもたらすと思います。

AIの台頭する社会へ

みなさんご存知の通り、今後は、今ある仕事のうちAIができることはAIが行うようになります。

人間はAIの制御や、AIに任せられない判断や意思決定、人間でしかできないモノづくりや発想を問われる仕事を担うようになります。

今よりずっと少数の人だけが働き、そのほかの人はゆったりと暮らす社会が来るでしょう。

医師の仕事もAIに代わられる部分がたくさんあるようなので、今ある問題のいくつかは解消していくのかなと想像します。

何年後にどうなるか具体的なことはまだ分かりませんが、仕事の「できない」人が働かないだけでなく、仕事を「したくない」人も働かない社会になります。

そうなると、記事の前半で論じたことが全く意味をなさなくなるかもしれません。

まとめ

少なくとも、AIが多くを担う時代にはまだなっていないこと、何かしらの生きがいや人生の目標を持っていることが精神的な健康にポジティブに影響するとの報告があることから、

現時点では「働くこと」を諦めきらないでほしいと思います。

もしくは、「働くこと」以外に人生の楽しみややりがいを見出すことを諦めないでほしいと思います。

「病気」と「仕事」と「お金」は大きなテーマですね。

双極人それぞれの価値観と現状の病状が合致した「仕事」「お金」のスタイルが、個々で確立されるといいなと思います。

以上、「双極症、就労意欲がないが働くべき?精神疾患と”仕事”と”お金”について」について解説してみました(‘◇’)ゞ

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