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双極症を学ぶための「おすすめの本」をご紹介!本の内容を役立てるためのヒント

2019/07/10
双極症(双極性障害)100の質問
精神科医・さくら(@sakura_tnh)です。自身の知識と経験を活かし、人をワンランク上の健康レベルに底上げ=幸せにすることを目指しています。

「双極症(双極性障害)についての100の質問」企画、第74回目です。

今回のテーマは、

「双極症を学ぶためのおすすめの本は?本の内容を実際に役立てられない人へのヒント」

です(・∀・)

本についての質問を2ついただきましたので、まとめてお答えします。

以下、質問者さんからのメッセージです。

「これはいい!という書籍を紹介してください。知識や加療についてもっと勉強したいと思っています」

「双極症の本や、精神療法の本などいろいろ読んでいるのですが、実際に役立てることができていません。通常の診察などとは別に、本などを読む意義を教えてください」

私は、双極症に限らず、精神疾患を患ったときは、その病気に関する本を一冊読むことを勧めています。

とくに、入院加療を受けていない人は、心理教育など、病気についてまとまった内容をしっかり学ぶ機会が少ないので必須です。

どうしても短時間になりがちな診察の中でも順次大事なことからお伝えしていきますが、通院のペースを考えると、患者さんに本を読んでもらえるとお互いにとって有益です。

病気に関する本を読むことのメリットとは?

本を読むことのメリットをあげてみます。

・早期に病気の概要を知ることができる

・症状への対処や日常の注意点を知ることができる

・早期から改善の取り組みを始められる

・本を通じて、家族や支援者と情報共有ができる

・繰り返し、気になる点を確認できる

・本を読んでの疑問を受診時に聞くことで、いっそう理解が深まる

・当事者の本では、同じ病気の人がいることに勇気づけられる

・当事者の本では、実際の体験、生活の工夫を知ることができる

どうでしょう?

ちょっとしたパンフレットやネット情報での知識に留まっている方には、ぜひ一冊読んでいただきたいです。

おすすめの双極本リスト!

独断と偏見で(笑)、双極症関連のおすすめの本を紹介します。

まずは、双極症の第一人者である、加藤忠史先生が監修された本です。

「これだけは知っておきたい双極性障害 躁・うつに早めに気づき再発を防ぐ! ココロの健康シリーズ」2018/9/20 加藤 忠史 (監修)

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可愛いイラストのおかげで穏やかな気持ちで読めます。

うつ状態でしんどいときにもポイントをつかめるよう、見開きの左ページだけを見てもだいたいの内容が分かるようになっています。

比較的薄い本ですので、自分が読むにも、家族や支援者に勧めるときにも抵抗のないことも利点だと思われます。

似たようなサイズの分かりやすい本は他にもありますが、この本は2018年に出たもので、最新の知見も含まれているので、より良いと思います。

「まだ双極本を読んだことがない」

「サッと読みたい」

「他の人にも読んでもらいたい」

という方にはベストな一冊です。

続いても加藤先生の著書ですが、2019年6月に第2版が出たばかりの本です。

「双極性障害[第2版] (ちくま新書)」2019/6/6 加藤 忠史(著)

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新書で、小さな文字がびっしりなので、まだ状態の回復していない方には少しハードルが高いかもしれません。

まずは、先ほどの入門書を読み、「もっと勉強したいな」と思われた方におすすめします。

後半には質疑応答のパートもあり、病気になって間もない人にはとても参考になりますよ。

続いては、また加藤先生の著書ですが、これは専門家向けです。

「双極性障害 第3版: 病態の理解から治療戦略まで」2019/6/24 加藤 忠史 (著)

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こちらもこの6月に出たばかりの本で、加藤先生が大変ご苦労されて書きあげられた「双極症大全」のような一冊です。

双極症について、ある程度知識のある方、専門職の方におすすめです。

続いては、対人関係療法の第一人者である水島広子先生の著書です。

「対人関係療法でなおす 双極性障害」2010/7/9 水島広子 (著)

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双極症の治療は、薬物療法がひとつの柱ですが、「心理社会的治療」も大事な柱です。

心理社会的治療で、心理教育、認知行動療法と並んで必ず挙げられるのが「対人関係社会リズム療法」です。

参考:双極症に「カウンセリング」は有効?お薬以外の治療法について解説しました。

対人関係療法はうつ病に使われていたものですが、今では様々な精神疾患に効果があると示されています。

この本ではその概要とともにどう実践していくのかを具体的に説明してあります。

実際のところ、この治療を専門家の元で行うのは現時点ではなかなか難しく、先ほどの本の著者である水島先生のクリニックでは、全16回で、1回50分、1回の料金は20,000円(保険使用不可)、他のあるクリニックでは、1回の料金は保険診療費+¥17,000(予約料)とされています。

とても有益な治療法ですが、近くにない場合は移動と費用の負担が大きいのも事実です。

もちろん、対人関係療法の理論を一般の保険診察内で活かしている先生はおられます。

この本は、患者さんが読むことでも一定の効果が得られます

一般向けで、平易な文章で書かれていますので、とくに対人関係におけるストレスが疲れや再発のきっかけになりやすい方は読んでみてください。

ここからは、当事者の書いた本の紹介です。

「双極性障がい(躁うつ病)と共に生きる 病と上手につき合い幸せで楽しい人生をおくるコツ」2016/1/27 加藤 伸輔(著)

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著者の加藤さんの発症から様々な苦悩や葛藤、病気の受容に至る経緯など、当事者のリアルな心情が書かれた本で、引き込まれます。

双極人の先輩として、多くの学ぶことがあると感じました。

「まいちゃんの双極取扱説明書: そう&うつなあなただってきっと大丈夫。 」 2019/3/29 まい (著)

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まいさんのエッセイマンガです。

実際はすごく大変な場面もあったと思いますが、ほのぼのした絵柄のおかげで深刻にならずに読めます。

お役立ち情報のまとめもあって、入門書としても良さそうです。

自分と対比して参考になることを取り込む

医師の書いた本も、もちろん当事者の書いた本も、

「うんうん、そうそう!」

と思う部分もあれば、

「んー、自分とはちょっと違うかな?」

と思う部分もあるのがふつうです。

全てがぴったりと当てはまらない、一部意見が合わないからと言って、「参考にならない」「受け入れられない」と判断するのではなく、「知識として知ることが大事」「ヒントになることは積極的に取り入れる」というスタンスで読むとよいと思います。

実生活で役立てられないという人へのヒント

2人目の質問者さんは、「本を読んでも実生活で役立てられない」と悩んでおられます。

まず、病気の全体像を知るだけで、すでに実生活で役立っています。

たとえば、知らない人に出逢ったとき、多数の人は「この人は穏やかな人かな?」「どんな考えの人かな?」「怖い人じゃないかな?」などと、身構えたり、不安を感じたりすることがあると思います。

その人と話をしたり、その人の表情や振る舞いを見ることで、次第に緊張が解けて、その人を受け入れようという気持ちになるものです。

病気に対しても同じことが言えます。

本を読むことで、

「得体の知れない恐ろしい病気」⇒「やりようによってはうまくコントロールできそうな病気」

と、すぐには難しいかもしれませんが、印象が変わると思います。

これだけで、一つ目の本を読む意義は達成されています。

次に、リアルでは当事者とつながることがすぐにはできないタイプの方も、当事者の本を読むと、「心の中の同志」ができます。

これはとても心強いことです。

いずれリアルに当事者とつながるベースとなると思います。

質問者さんが一番気にしているのが、本に書かれている病状のコントロールのヒントを実生活に取り入れられていないことでしょう。

これに関しては、人によっては、そのヒントを「自分のこと」に落とし込むことが苦手な人がいると思われます。

その場合は、家族や主治医に、

「本を読んでこんなことを学んだんだけど、自分の場合、どう活かしたらいいかな?」

と聞いてみることです。

せっかく本を読んでいるのですから、少なくとも書籍代の元は取るつもりで活かし尽くしましょう。

以上、「双極症を学ぶためのおすすめの本は?本の内容を実際に役立てられない人へのヒント」について解説してみました(‘◇’)ゞ

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