「双極症(双極性障害)についての100の質問」企画、第89回目です。
今回のテーマは、
「双極症の人は結婚できる?双極症の親に育てた子どもは幸せになれる?の愚問」
です(・∀・)
以下、質問者さんからのメッセージです。
「双極症は遺伝しますか?
双極症で結婚できますか?
双極症の親に育てられた子はしあわせですか?」
これは質問者の方が当事者の方かどうか不明な質問で、差別的な意図があるかどうかも不明です。
このような問いは、双極症に限らず、あらゆる精神疾患、また社会的に偏見のある属性にある人に問われることかと思います。
ひとつめについては、過去記事を参照ください。
参考:双極性障害は「遺伝」する病気なの?「遺伝」について心配される3つのこと。
参考:双極症の原因は最新の研究ではどこまで解明された?環境要因と遺伝要因を説明。
2つめ、3つめの問いについては、
ハッキリ言って「愚問」です。
○○の人は結婚できますか?
○○の親に育てられた子は幸せですか?
○○に何がはいろうが、その答えはケースバイケースでしかありません。
結婚できる人もいれば、できない人もいる。結婚する人もいれば、しない人もいる。
子どもがその親に育てられたことを幸せに感じるように育つこともあれば、そう感じられないこともある。
そもそも、結婚も子どもを持つことも、現在では多様な考えがあり、すべての人が望むことでもありません。
双極症以外の背景や価値観から結婚しないと決めている、子どもを持たないと決めている人もいます。
さらには、双極症でない、精神疾患を持たない親の子どもは全員幸せなのかと言えば、即答できないのが現実です。
双極症であることだけで、子どもの幸不幸をジャッジすることはとても無理なことです。
また、双極症は20〜30代での発症が多いため、結婚後・出産後に、発症する方も多いです。
自分は結婚できるのか?子どもを幸せにできるのか?
もし、双極症の当事者の方が、
「自分は結婚できるのだろうか?」
「子どもを幸せにできるのだろうか?」
と悩んでいるとして、それでもその答えは、
「あなた次第です」
としか言いようのないことです。
病気があるがゆえに不便なことはあれど、絶対的にできないことはほとんどありません。
その人がどう生きたいか、どのような選択に価値をおくかが大事なことです。
また、医療者や支援者にできることは、双極人が病気を抱えながらもチャレンジしたいと願うことを応援し、病状コントロールのために必要な助言をすることです。
子どもの幸せは子ども自身が選び取るもの
また、「子どもの幸せ」については、「親が幸せを与える」ものではなく、結局は、
その子どもがどう生きるか、自分の人生をどう感じるかです。
親は子どもを幸せにしたいと願い、そのためにできることをするのみです。
双極症という病気がその妨げになるかどうかは、病状にもよりますし、本人がどれだけ真摯に病状コントロールに取り組んでいるかにもよります。
病気のために、子どもの生活や心情に影響することはどうしてもあると思いますが、
それだけで「子どもが不幸になる」わけではありません。
親を含む生育環境は、子どもの感情、思考、認知、色んな面に影響するものですが、それ以上に友人など近しい年齢の子どもに大きく影響されるものです。
育児について書いた記事も参考にされてください。
参考:双極症を抱えながらの「育児」子どもが幼いときの育児のヒントと注意点とは?
病気を抱えていることは必ずしもマイナスではない。
病気について否定的なイメージを持つのは、当事者も周囲の人も同様ですが、
「病気=デメリットばかり」かというと、必ずしもそうではない
という視点を忘れがちです。
病気があるからこその、ユニークなパートナーシップ、家庭を築く、子育てをするというのもありうる話です。
年齢を経るにつれて、病勢が落ち着いてくることもあるので、今想像している年代よりもっと上の年代になってから、パートナーを得てもいいと思います。
このご時世ですから、「結婚」という形にこだわる必要もないですし、はたまた子どもも「遺伝的な子ども」にこだわらずに養子を育ててみるなど、思ってもみない選択肢があるかもしれません。
精神的につらい時は心理的な視野狭窄に陥りがちで、ほかの選択肢が見えなくなってしまいます。
「現状のつらさがこの先もずっと続く」という心理的バイアスにもとらわれてしまいます。
「病気だから、こう生きるほかない」
「病気だから、○○を諦めるべき」
などの考えがよく浮かぶ方は、視座を変えてみることを意識してみましょう。
まとめ
この世には、たったひとつの価値観などはありません。
そう感じているなら、心が狭量になっていて、今まで生きてきた中で引っかかったことにずっと囚われているのでしょう。
双極人は、結婚できますし、でも別に結婚しなくてもいいですし、結婚してうまく行かなければ病気の無い人と同様に離婚したらいいですし、子どもも授かったなら病気は関係なく精一杯の愛情を注げばいいですし、子どもが幸せになることを願えばいいと思います。
「○○できない」と思い込むと、人はそのように行動しますし、その考えに沿った情報を見つけては考えを強固にしていくものです。
できるかどうかは別として、「自分はどうしたいのか?」が大事なことです。
自分の心の望むことをしっかりとらえて、今できることをしていきましょう。
そう生きていけば、どんな人生となっても、後悔のない人生になると思います。
以上、「双極症の人は結婚できる?双極症の親に育てた子どもは幸せになれる?の愚問」について解説してみました(‘◇’)ゞ