「セルフ・コンパッション」の第三弾記事です。
具体的なテクニックを知る前に、セルフ・コンパッションの概念や、その3要素などを過去記事でご覧ください。
参考:自分に思いやりと慈しみをもつ「セルフ・コンパッション」の概要と効能とは?
参考:セルフ・コンパッションの「3つの要素」と「8つのエクササイズ」を解説☆
※表現を繰り返す際は、セルフ・コンパッション=SCとして記載します。
今回は、セルフ・コンパッションの研究の中で使われ、SCを高めるのに役立った具体的なテクニックを6つ解説していきます。
きっと、「試してみたいな」と思われるものが見つかると思います(*^^*)
Contents
セルフ・コンパッションを高める6つのテクニック
テクニック①「コンフォート・カード」
1.ストレスフルだったり困難な状況において、自分を批判したり、責めてしまった時のことを思い出す。
2.1で頭に浮かんだ批判的なフレーズを、茶色などの暗い色のカードに書き出す。
3.SCの3つ要素(自分への思いやり、共通の人間性、マインドフルネス)を思い出しながら、2の批判的なフレーズに対して、自分を優しく労わるようなメッセージや、つらい時にできる対処方法を考える。
4.3で考えたメッセージや行動内容を、明るい色のカードに書き出す。これがコンフォートカード。
5.コンフォートカードのみを携帯して外出時にも持ち歩く。
6.ストレスフルな状況・困難な状況に出逢った時にコンフォートカードを見る。
7.そこに書いてあるメッセージを頭の中で自分に言ってあげたり、自分を思いやる行動をとる。
3週間続けてみると、SCへの効果が見られるようです。
お好みで、スマホのメモアプリにコンフォートカードの内容を記して、それを見る形にしても良さそうです。
テクニック②「ストレスに気づくアクセサリー」
1.簡単に取り外せるアクセサリーを身につける。ブレスレット、指輪など。手持ちに無ければヘアゴムや輪ゴムを手首につけてもよい。
2.ストレスや不安・抑うつなどの感情がわき起こった時、自分を責めるような考えが浮かんだ時に右につけていたアクセサリーを左手に付け替える。(左右はどちらでもOK)
3.2のようなことがあれば、その度に左右を付け替える。
ネガティブな感情・思考に気づく練習です。それらを認識するだけでストレスが和らぎます。
これはかなり簡単なテクニックなので、今日からでもお試ししてほしいです。
テクニック③「慈悲の瞑想」
1.自分がリラックスできる姿勢でOK。目を閉じる閉じない、口に出す出さないは自由。
2.一呼吸ごとにワンフレーズを思い浮かべる。(3回)のところはそのフレーズを3回繰り返す。可能なら、その時にわき起こる思考や感情をとらえる。
私は幸せでありますように
私の悩み苦しみがなくなりますように
私の願いごとが叶えられますように
私に悟りの光が現れますように
私は幸せでありますように(3回)
私の親しい生命が幸せでありますように
私の親しい生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の親しい生命の願いごとが叶えられますように
私の親しい生命にも悟りの光が現れますように
私の親しい生命が幸せでありますように(3回)
生きとし生けるものが幸せでありますように
生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように
生きとし生けるものにも悟りの光が現れますように
生きとし生けるものが幸せでありますように(3回)
私の嫌いな生命も幸せでありますように
私の嫌いな生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の嫌いな生命の願い事が叶えられますように
私の嫌いな生命にも悟りの光が現れますように
私を嫌っている生命も幸せでありますように
私を嫌っている生命の悩み苦しみがなくなりますように
私を嫌っている生命の願い事が叶えられますように
私を嫌っている生命にも悟りの光が現れますように
生きとし生けるものが幸せでありますように(3回)
ちょっと長いですが(汗)、15〜20分ほどこの慈悲の瞑想を行うとSCが高まるようです。
「瞑想」と聞くと抵抗感がある人もいると思いますが(私もそうでした^^)、科学的に効果があると証明されているものなんですよね。初めのうちはこそばゆい感じがしますが、次第に馴染んできます。
ふとした時に「生きとし生けるものが幸せでありますように」のフレーズを思い浮かべるのも良さそうです。
こちらのサイトには、実際の音声もあるので興味のある方はどうぞ。
この慈悲の瞑想以外にも、「ヴィパッサナー瞑想」という、マインドフルネス瞑想のひとつにも、SCを高める効果があるようです。
ヴィパッサナーとは、「物事をあるがままに見つめる」いう意味だそうです。噛みそうな名称です。慈悲の瞑想が定着してきたら次にトライすると良さそうです。
テクニック④「セルフコンパッション・フレーズ」
1.困難な状況で自分に思いやりを持って扱うためのフレーズを作る。落ち着いている時に行う。
2.SCの「3つの要素」ごとにオリジナルのフレーズを作る。
「自分への思いやりに関するフレーズ」
ex)「私は自分に優しくできる」「私はつらい時にできる対処行動がある」「私は自分自身のことを大事に思っている、大事に扱う」
自分への慈しみの感情を思い出し、自己批判を遠ざけるフレーズを考える。
「共通の人間性に関するフレーズ」
ex)「誰でも苦しい状況に陥ることはある」「人生には困難な時もあるもの」「苦境から立ち直って幸せになりたいのはみんな同じ」
感じているストレスや困難を「自分だけのもの」と思い込むのを避けるフレーズを考える。
「マインドフルネスに関するフレーズ」
ex)「ストレスに対して、今、私は不安・苛立ちを感じている」「私は今、良くない感情にとらわれている」「今、私は苦しい。逃げ場が無いと感じている」
困難な状況で、自分がどんな状態にあるかを観察して認識するフレーズを考える。
3.困難な状況に直面した時に、このフレーズを思い浮かべる。
テクニック①の「コンフォート・カード」と似ていますね。手帳やメモアプリにこれらのフレーズを書いておいて、すぐ見られるようにしておきましょう。
テクニック⑤「コンフォート・ジェスチャー」
1.苦境に陥った時、ストレスを感じた時に、自分の気分が落ち着くようなジェスチャーをする。これがコンフォート・ジェスチャー。
2.コンフォート・ジェスチャーを落ち着いている時に用意しておく。
・胸に手を当てて、深呼吸する
・自分自身を包むようにハグする
・片手で片手を優しくなでる
・片手で片手をマッサージする
・手で肩をもみほぐす
などなど。
3.ストレスを感じた際に決めておいたジェスチャーをする。
コンフォート・ジェスチャーをするだけで、副交感神経が刺激され、心身ともにリラックスできます。SCも高まるようです。
また、自分の体に触れるとオキシトシンというホルモンが分泌されて、不安や恐怖が和らぎます。
なので、しっくりくるジェスチャーなら何でもよいですが、自分の体のどこかに触れるジェスチャーがオススメです。
場面的に、ジェスチャーが行えない時は頭の中でイメージしてみましょう。周囲に人がいてもやりやすいジェスチャーがベターですね。
個人的には、自分を両手で抱え込む「セルフハグ」に、プラス「手で優しくトントンする」のが落ち着きました。さらに、「左右に揺れながら」行うとよりリラックスしました。
(赤ちゃんをあやすイメージ?)
テクニック⑥「コンパッション日記」
1.ノート、日記帳を用意し、今日を振り返り、どれだけSCを意識したり、テクニックを使えたかを書き出す。
2.困難な状況や、強いストレスを感じたことがあれば、その体験を「SCの3要素」を意識しながら振り返る。
「こう思考すれば・行動すればよかった」などの改善点や、「頭の中でコンフォート・フレーズが浮かんで落ち着けた」などのうまくいった点を記載する。
3.日記を書き続けているうちに、SCへの意識が高まり、困難な場面で自分への思いやりのある思考や行動が上手にできるようになっていく。記録を振り返ると、成長のプロセスに気づくことができる。
ちょっとマメさは必要ですが、習慣化するまで、初めは短く記録することにしてハードルを下げておくといいですね。まずは1か月続けられたら、いいのではないでしょうか。
まとめ
今回でセルフ・コンパッションのお話はいったん終了です。
「もっと学びたい!」という方は、クリスティーン・ネフ博士の本を読んでみてくださいね。
参考:「セルフ・コンパッション—あるがままの自分を受け入れる」クリスティーン・ネフ
より深い学びも大事ですが、このブログくらいの知識でも、
まずは行動に移してみることが有益
であると思います。
少しでも良い方向に変わりたいと思っている方は、本記事のうちのひとつでも、明日から、いや、今日から取り組んでみてください。
取り掛かりは早い方が、効果も早く出ますからね。
私も簡単なテクニックから実践して、SCを高めたいと思います。
グッドラック!!(・∀・)
セルフ・コンパッションの概念や、その3要素などは以下の過去記事を参照ください。